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【番外編】山田貴之は見た …5
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「いやー…肉、美味いなぁって」
「?」
「ご飯とビール、どうぞー」
りっちゃんがお盆にビールとご飯を乗せて戻ってきた。
「あぁ、陸ありがと。ヤマ、遠慮せず飲めよ?」
「おぉ」
オグが俺のグラスにビールを注いでくれた。
りっちゃんが座って肉を食べ始める。
「陸、こっち、焼けてるよ」
「ん。ありがとー」
ぶっちゃけさ…
上手く表現出来ないけど、疎外感っつーの?
そーゆーのを感じちゃったんだよね。
もぐもぐ…
いや、二人がどうとかじゃ無い。
二人はただ、ラブラブしてるだけ。
…つーか、これが普段通りなんだろう。
これは、俺の、気持ちの問題だ。
それを振り払うように、ビールを流し込む。
「はぁー。…なぁ、お前ら今、幸せか?」
「「え?」」
ハモって振り向いた二人。
「…羨ましいんだろ?」
オグが俺の心を見透かしたように、ニヤリと笑いながらそう言った。
「おー。ぶっちゃけ、結婚したくなった。つーか、奥さん欲しいわ」
「えー?山田さん、カッコ良いし優しいし、すごく素敵な人ですもん!山田さんがその気になれば、すぐ見つかりますよ」
そう言ってニコニコ笑うりっちゃんの隣で、明らかに面白くなさそうな顔をしてるオグ。
「プッ!オグ!お前今、俺にヤキモチ妬いたろ⁈な!…ププッ!どんだけ心狭いんだよ!うわー!りっちゃんも大変だなぁ」
「えっ?えっ?」と慌てるりっちゃん。
「うるせー」と呟くオグ。
本当、良いカップルですこと。
それにしても、俺がその気になれば、かぁ…
結婚。
結婚したいとは言ったけど、実際ピンと来ない。
結婚って何だ?
よく、恋愛と結婚って別って言うけど…
俺にはよく分かんねぇ。
「なぁ。どうして結婚しようと思った訳?」
俺がそう言うと、オグが少し考えてこう言った。
「単純に、一生一緒にいたいと思ったからだな」
「一時的な盛り上がりとは、違う訳?」
「違う」
オグ、即答。
「お前も出会えば分かるよ。口じゃ上手く説明出来ないな。とにかく、分かるよ」
「そ…か」
よく、分からんな。
俺も昔、盛り上がって「結婚する」と思った相手がいるけど…今思えばあれはただのそん時の勢いっつーか、若気の至りだった。
今思えば、結婚しなくてよかった。
あーゆー感じの「結婚したい」とは違う…って事だよな?
「んー、俺も…何か…最初から、今までとは違う感じでした。…変な話、って言うか、恥ずかしい話なんですけど…付き合う時から、この先この人しかいない、みたいな感じがありました…ね」
りっちゃんが、頬を染めて遠くを見た。
「なるほどねー…。そーか、出会いか。出会い…てぇなぁ」
俺、今まで付き合った子たちは皆勢いで…だったからなぁ。
じっくり知り合ってから好きになって付き合った、みたいな経験が…ない。
結婚は勢いってよく聞くけど、俺の知ってる勢いとは違うことは、分かる。
あー、ヤメヤメ!!
俺、悩むの苦手だわ!
「よし!りっちゃん、飲め飲め~!」
「え?あ、ありがとうございます」
とりあえず、この場を楽しもうじゃないか。
しんみりしたのは、ガラじゃねーや。
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