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【番外編】山田貴之は見た …9
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つまりあれだろ?
二人の事は認めても、身体の関係に関しては親友ですら避けてると。
つーか、そーゆーのには誰も触れたくないだろうと。
気持ち悪がられてるとか思ったのかな?
だから、俺の行動が意外だったワケ?
「ま、雅治さん!」
りっちゃんがびっくりした顔でオグを見る。
「オグー!りっちゃんが超可愛いんだって!」
「だから、何だ?…勝手に触んな」
「いやもう!ホントご馳走様だし!いや〜ホントいいわ!飲も!今日は飲もう!」
飲んで、酔って、エロりっちゃん降臨したらいいじゃない!
オグに甘えたらいいじゃない!
なんか、色々あんのかも知れないけどさ…
うん。
この二人なら絶対大丈夫だ。
「っかー!お前らホント、ナイスカポーだわ!ほら!オグも飲め!お?風呂上がりはビールか⁈」
未だに俺のことをジト目で見てるオグ。
「だからー、なんもないってば!ちょっとりっちゃんと戯れてただけだから!つーか、俺なんかにヤキモチ妬くなよなぁ。そーんな心狭いと、りっちゃんに嫌われるぞー」
俺の言葉にムッとした顔を見せるオグに気付いたのか、りっちゃんがバッと立ち上がった。
「ビールだよね?冷えたやつ、持ってくるね!」
空気を変えるように振る舞っちゃって…
ホント可愛いわ。りっちゃん。
どかっと腰を下ろしたオグ。
「陸に何してたワケ?」
おー。
目が怖い、目が怖い。
「何も?…つーか、あれぇ?オグは男相手にもヤキモチ妬くワケ?そんなんだと、本当にりっちゃんにウザがられるんじゃね?しかも、女の子大好きな俺相手にさぁ」
「それでも……、ッチ」
何かを言いかけたオグは、りっちゃんのグラスのワインを飲み干した。
分かります。分かります。
『それでも…』いくら女好きのオグでも、りっちゃんは別格になっちゃったんだよね。
それを身を持って知ったから、やっぱ女好きの俺相手でもヤキモチ妬いちゃうワケだよね。
ビールを持ったりっちゃんが、オグの隣に座る。
「りっちゃんの可愛さは知ってるけど、それはオグの前だけだろ?心配すんなよー。な?」
「えっ⁈何の話っ?」
りっちゃんが俺とオグを交互に見た。
「プッ…つーか、オグがそんな風にヤキモチ妬いてんのとか、マジ貴重!…いや?そういや初めて見たかも!ブフッ!」
ビールを受け取ったオグは、プシュとビールの缶を片手で開けてそれをあおった。
トン!と軽快な音を立てて、缶をテーブルに置いてから、俺をキロリと睨む。
その目に、もう怖さはなかった。
それは多分、照れ隠し。
本人も分かってんだ。
自分が、可愛い恋人の事になると、どんな相手でも嫉妬したりヤキモチ妬いたりしてしまう事を。
その後は、たわいもない話をしながら、三人で楽しく食べて飲んだ。
ただ…
楽しい反面、俺は心の奥に何か寂しさが溢れてくるのを感じていた。
そうだ。
俺の方こそ、嫉妬してる。
オグに嫉妬してるんだ。
一生を捧げられるパートナーを見つけた事に。
その相手が、こんなに可愛い子だって事に。
長年付き添って来た俺でも見た事ないような顔を、りっちゃんに見せる事に。
そして…
俺にも、こんな未来が訪れるのかと言う、不安。
りっちゃんが出してくれたキュウリの漬け物。
その最後の一つをポリポリと咀嚼し終わると、何とも言えない気持ちになった。
「俺には運命の相手とか、いんのかな…」
突然の俺の言葉に、二人はキョトンと俺を見た。
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