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【番外編】山田貴之は見た …10
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こんな事、聞いてどうする?
二人が俺の運命の相手がいるかどうかとか知る訳ないじゃん。
とか自分に突っ込みつつも…
俺は幸せが欲しくて仕方なくなってしまった。
「運命の相手って、どうやって見極めんの?二人は何がきっかけで始まったの?」
俺のその言葉に、しばらく考えていたりっちゃんが、何を思い出したのか頬を染めた。
「始まり?…そんなの秘密に決まってんだろ」
オグが意地悪そうに笑う。
「いやさ、俺はどうやったら幸せを手に入れられるか知りたいのよ。な?参考までにっ」
オグはフッと笑ってからこう言った。
「何?ヤマ、酔ってんのか?…あぁ、そうだな。参考にはならないだろうけど。まぁぶっちゃけ、俺らは手ぇ、つないだな」
「…て?」
オグがニヤリとしながら頷いた。
「手。俺たちは、それがきっかけで始まったよ」
オグがりっちゃんを見ると、りっちゃんもオグを見返した。
一瞬にして、二人の空間が出来上がる。
甘い、温かい空間。
どうやら、二人には共通の思い出があるらしい。
始まりの思い出が。
「手ぇつないだのが…きっかけ?」
「そ。それがきっかけ」
「は?そんな方法?それで?手ぇつないだ後は?どうやって判断するわけ?」
「それは、その時次第だろ」
「…何それ?」
「だから…参考にならないっつったろ?」
手、つなぐ?
そんな学生みたいな事?
二人はそんな事でお互いを見極めたワケ?
手をつないで、ドキドキして…みたいなこと?
なんか、よく分かんねぇなぁ。
でもそういう恋愛、久しくしてねぇな。
りっちゃんに目線を向けると、ウッと言うような表情をした後、こんな事を言った。
「山田さんが、その…運命の人とどういう出会いをするか分かりませんが…。俺は、出会った時は雅治さんとこんな事になるなんてこれっぽっちも思わなかったんです。けど…その、きっかけのおかげで、ここまで来れたんです」
エヘヘとりっちゃんが笑う。
「手、ねぇ…俺も何か感じられるかなぁ?」
ピンと来ないまま、呟いてみる。
「うーん。山田さん、気付いてないだけで、もしかしたらもう出会ってたりするかもしれませんよ?だって、山田さんみたいな人の周りには、素敵な人が集まると思うんですよねー。なんか…きっかけがあればトントンと行きますよ」
りっちゃんが、ニコッと俺を見た。
「そーか?うーん。まぁ、そうだと良いけど」
りっちゃん。
君が言うほど、俺は良い男じゃないのよ。
腹黒、真っ黒、まっくろくろすけなのよ。
それから話題を別の話に切り替えたけど、俺は半分上の空だった。
そんなこんなで、俺は食事が終わってからすぐに二人の愛の巣を後にした。
二人と別れて、帰り道。
あいつらの熱を浴びた身体が、一気に冷えるのが分かる。
あの二人は、温かい。
だから好きだ。
でも、だからこそ、別れた後の寒さというか…虚しさが何とも言えねぇ。
俺にも現れるかな?
運命を感じる人が。
りっちゃんの言葉、出来れば信じたい。
もう出会ってたりするかなぁ?
でも、俺の周りに集まる女は、俺の表面しか見てないやつばかりな気がするし。
うーーーん……
空を仰ぐと、北極星が瞬くのが見えた。
あの二人には、永遠に幸せであって欲しい。
その輝きが、俺をまだ見ぬ幸せへと導いてくれる気がするから。
どうか。どうか。
それからしばらくして…
俺はどうやら、運命の相手を知ることが出来るのだけれど。
そのきっかけが、手をつないだ事って言うのは…
あの二人には、秘密の話。
山田貴之は見た … end.
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