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【後日談】一夜の夢、一生の誓い …2
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「あー。そーか。ごめん。変なこと言った。それはやっぱ難しいか。…だって、デートですら、デートらしくできないんだもんなぁ?」
「はは…っ」
うん。酔っ払いの戯言だ。
普段のオカなら、こんな意地悪みたいなこと言わない。
…と、頭では分かっていても、なんともモヤモヤした気持ちになってきた。
「ハイ!おまたせー!ってゆーか、岡本くん、今日はかなり酔ってるね」
グッと言葉に詰まった時、マスターがオカの前に水のグラスを置いた。
「え〜?酔ってないっスよぉ」
「はいはい。いいから、水飲んで!」
そう言いながら、マスターは俺を見て、やれやれといった感じで微笑んだ。
俺が微妙な顔してるの、気付かれたかな?
「マスター。なんかー、俺、今幸せ過ぎて怖いんすよー。これ以上の幸せなんてない気がして…いつ死んでもおかしくない気がするっス〜」
グラスの水を半分飲んだオカが、マスターにそう言った。
「ははは。でも、それで酔っ払い過ぎて友だちに迷惑かけるのはダメだろー」
「えー…?」
マスターが俺を見るのにつられるように、オカが俺を見た。
酔っ払いらしく、揺れる目で俺のことを見たオカが、俺の顔に焦点を定めた後「あぁー」と、頭を抱えてうな垂れた。
その拍子に、腕がグラスに当たって中の水をブチまけてしまった。
「ああ!マスターごめんなさい!!」
「ああ、いいよ。岡本君は濡れてない?」
「俺は全然大丈夫ッス!」
わたわた慌てるオカをマスターがなだめて、オカが大きなため息を吐いた。
「さとちん…ごめん」
「いや、俺は濡れてないから大丈夫」
「そうじゃなくて…あぁ。俺、マジ酔い過ぎだわ!ちょっと変なこと言い過ぎた、よな?酔って…なんか酷いこと言った…よな?あー、俺のバカ!忘れてくれると助かる。ほんと、ごめんな?なんか、悪気はなくて…。あー、ちょっと、トイレ。トイレ行って顔洗ってくる」
「え?あ…うん」
何?
俺、なんか顔に出てた?
オカのこと、睨んだりしてた?
恐る恐るマスターを見ると「気にすんな」と肩をすくめながら笑ってくれた。
うう…
やっぱ、顔か態度に出てたんだよね?
俺もオカのこと言えないくらい、酔ってる自覚あるし。
オカにあんなこと言わせるくらい顔に出てたのなら、気をつけなきゃ。
ただ…なんてゆーか、ちょうど自分の中でタイムリーな悩みだったんだ。
その…デートとか、人前でどうこうって話が。
この時期、街はカップルを盛り上げるようなムードで、それに伴って、仲良く歩く男女をよく見かける。
寄り添ったり、手を繋いでる彼らを見て…
なんだか寂しい気持ちになってしまうのは、今日も例外じゃなかった。
さらに、クリスマスイルミネーションを見ると、寂しさが倍増するのだ。
あの中を、雅治さんと手を繋いで歩きたい。
叶わないけど。
叶わないからこそ、辛い。
オカの言う通り、難しいのだ。
と言うか、出来るわけないんだ。
人の目線を気にして歩いても、楽しくないし。
て言うか、好奇の目で見られるのは…ごめんだ。
そんな事を考えていると、不意に隣の席から視線を感じた。
何気なくそちらを見てみると、美人なお姉さんが頬杖をつきながら、俺のことをジッと見ていた。
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