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【後日談】一夜の夢、一生の誓い …3
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あまりにもガッツリと目があってしまって、ドキリとした。
もしかして、酔い過ぎで声が大きくなっちゃって迷惑掛けた?
水とかこぼしちゃったし…
とりあえず、謝ろう。
「あの…騒がしくしてすみません」
軽く会釈して目線を戻そうとすると、そのお姉さんはフッと微笑んでからこう言った。
「いいえ。なんだか…大変そうね」
酒焼けしたような少し掠れた声。
服装も派手目だから…お水系の人なのだろうか?
「あ…いえ」
もしかして、さっきの話、聞かれてた?
もしそうだとしても、どう返事していいか分からず愛想笑いを返すと、そのお姉さんはマスターに向かってこんなことを言った。
「ね?あっちゃん。私、ちょっとお節介妬きたくなっちゃった」
それを聞いたマスターは、ギョッとした顔をして、お姉さんと俺と交互に見た。
「いや、マキちゃん…そう言うのはどうかと…」
あ。お姉さん、マスターのこと名前で呼んだ。
マスターも、下の名前でお客さんのことを呼ぶなんて…珍しい。
二人は友達かな?
それにしては親しげな…
「え?やっぱダメかな?うーーん」
友達にしては、歳が離れて見える。
どんな関係なのかな?
何か…気になってきた。
「あの、二人は友達なんですか?」
酔っ払いの俺、つい気になったことを口にする。
そんな俺の質問に、お姉さんは気軽に返事してくれた。
「え?ああ、私の彼氏がね、あっちゃん…マスターと、高校の同級生なのよ」
「へえー」
お姉さんが楽しそうに笑った。
「そして、私たちのキューピットなの」
ふふふ、と笑う顔は、とても幸せそうだった。
あー…
ここにも幸せ振りまいてる人がいた。
いいな。
「なんか、幸せそうで…良いですね」
言ってから、しまった、と思った。
その言葉にモヤモヤを乗せてしまった気がしたから。
このお姉さんは、何にも悪くない。
卑屈な俺が悪いだけだ。
でも、俺のそんな思いには気付かなかったのか、お姉さんは微笑みを絶やさずに続けた。
「あのさ、さっきの友達との会話…実はちょっと聞いちゃったんだけど…あなたも恋人いるんでしょ?」
ああ。
やっぱり聞かれてた⁈
声、抑えてたつもりだったけど、抑えきれてなかったのかも。
どこまで聞かれたのか…そして、会話に変なとこがなかったかとか、色々気になってしまう。
「え、あー…ハイ…」
「でも、そんな微妙な顔するなんて…幸せじゃないのね?」
お姉さんが、ひょいと顔を傾げた。
「マキちゃん」
その時、マスターが諌めるような声を出した。
お姉さんはその声に反応して、急にしょんぼりとした顔になる。
「っ!だってー…」
ああーもう。
なんかよく分かんないけど、俺のせいでケンカしないでよ。
うまく立ち回れずに、勝手にウジウジしてる俺が悪いんだから。
「いえ、マスター、いいんです。ちょっと、悩みがあるのは事実だし…。あ、でも、幸せじゃないって訳じゃないんですよ!ホント、ちょっとした事なので…」
そう言って笑って二人を見ると、二人も渋々と言った感じで微笑み返してくれた。
ちょうどそのタイミングで、マスターが他のお客さんに呼ばれて「ごめん」と言いながら俺たちの前から去っていった。
さて、俺もテーブルに戻ろうかと思った時、再びお姉さんが声をかけてきた。
「あのさ、私で良かったら、悩み、聞くよ?」
「え?」
いやいや、他人に聞かせられるような悩みはない。
そう思って、断ろうとしたら
「さっき…泣きそうな顔してた。だから、なんか、ほっとけなくて」
そう言われて、ドキリとした。
俺、泣きそうな顔、してたの?
何も言えず、お姉さんの顔を見返すと、お姉さんは優しく微笑んで、こんなことを言った。
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