アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
【後日談】一夜の夢、一生の誓い …10
-
「うわ…ちょっ。うわ…なにこれ。うわ…すご。やりがいあるなー。って言うか、やりがいがないってゆーか…」
カラー診断とやらで俺に似合う色をチェックされた後、身体の採寸をして、今は化粧台の前にケープをして座らされている俺。
どうやら、メイクが始まりました。
マキさんは、なにやらブツブツと独り言を言っている。
たまに、今やってることの説明をされたり、世間話をしたりするけど、基本、マキさんのやってる事に口を出す空気にはならない。
ってゆーか、ここまで来たら、もう断れない…
あぁ、そうだ。
化粧が終わって…もしくはどこかのタイミングで「このレベルじゃ恥ずかしい」とか言って、変身するの辞退しよう。
だって、俺が女に変身できるなんて、思えない。
いや、マキさんの腕を疑ってるとかそーゆーのじゃなくて…
確かに、男らしくない自分を悩んでいた時期もあるけど、それと本物の女は違う。
うん。俺が女になれる訳ない。
マキさんは…女に変身できるの、何か分かる。
今は男らしいけど、やっぱり何か不思議な雰囲気というかオーラがあるし。
"持ってる"って感じ。
でも、俺は何にも持ってない。オーラもない。
「佐藤くん、意外と薄化粧の方がいいかも…まつ毛長いし、やり過ぎるとケバくなる。うん。あ…コレいいね。良い感じ!」
「は、はぁ…」
マキさんはさっきから楽しそうだ。
今は俺の目の前にいて、目をいじられてるので、鏡は見えない。
「さ!出来た!どうかな?」
満足そうに頷いたマキさんが鏡越しに微笑んだ。
「う、わ…」
鏡の中には、妹に似てる感じの俺がいた。
俺の知らない、俺。
ってゆーか、これ、俺⁈
俺が顔を動かすと、当たり前だけど鏡の中の俺も動く。
ただし、知らない顔の、俺。
なんか、なんてゆーか、変な感じ…
「どう?どう?基本的に薄化粧に見えるけど、頬骨とか顎のラインとか…女性らしい曲線になるようにバッチリ修正してあるよ。男と女は、基本的に骨格が違うんだ。だからそこを隠してやると、上手く変身できるんだよ。…で、カツラなんだけど…ロングより、エラが隠れる感じのゆるふわボブが良いと思うんだけど…」
そう言いながら、マキさんが俺にカツラをかぶせた。
「…っ!!」
「わ!いいね!超可愛い!」
鏡の中には…女の…俺がいた。
なんか、変。
自分で言うのもなんだけど、こういう女の人、いそう。
でも、俺なんだよ。
変な感じで、気持ち悪い!
「明るいところで見てこの出来なら、夜とか絶っっ対にバレない!いいなー。佐藤くん、本当に素材が良すぎだもん。さてと、次は服を選ぼうかな。…とりあえず、俺の見立てでいくつか持って来たけど、彼の好みとか…」
「あっ、あっ、あのっ!」
「ん?」
どんどん先へ行こうとするマキさんを、とりあえず止めた。
だって。
だって。
外見はどんどん変わるけど、中身が、気持ちがまだ着いていけない!
「本当に変じゃないですか?お、俺、なんか、よく分からなくて…その、自信がないというか、本当にこれでいいのかどうか…」
「あー…うーん。もっと化粧足したい?あ、それとも髪型変えてみる?別のカツラも準備してるよ?」
「いや、あの、そうじゃなくて…あー、何て言えばいいのか…うーーん」
実際、何を言えばいいのやら。
マキさんは、本当に俺を化かしてくれた。
すごい腕だと思う。
だって…自然なんだもん。
女のマキさんは派手な感じだったから、俺もケバい感じの女装になるかと思ってたのに!
ただ、戸惑うと言うか、もう、断れないところまで来てしまった気がして、急に怖気付いた。
「うーん。やっぱり、女装は嫌?」
何も言えない俺を見て、マキさんが残念そうな顔をした時、部屋のドアがノックされた。
俺がビクリと震えると、マキさんが「…ごめん、ちょっと出るね?」と言って、ドア側のカーテンを引いて外から部屋の中が見えないように区切りをつけてからドアを開けた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
515 / 559