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【後日談】一夜の夢、一生の誓い …12
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「え?はい!…ちょっとごめんね?」
マキさんが、そそくさとカーテンの向こうに消えて、遥香さんとドアから出て行った。
…何だ?何だ?
仕事の話なら良いけど…
俺の前では言えなかった何かがあるって事?
あーーー!
どうしよう、どうしよう。
帰りたい。
ってゆーか、消えたい!
そう、一人でオロオロしていると、ドアが開いて…
マキさんが戻って来た。
「あのさ、佐藤くん。もし良かったら、なんだけど…篠崎店長が、佐藤くんのことモデルとしてすごく興味があるみたいで、ちょっと話したいって言ってるんだけど…」
その言葉に、背中に冷や汗が流れるのを感じた。
鏡越しに見るマキさんは、申し訳なさそうな顔をしている。
嘘だろ…
やっぱ、バレた?
心臓が、あり得ないくらい、早鐘を打ち始めた。
「いや、俺も佐藤くん見てビビッと来たから、篠崎店長の気持ちも分からなくもないと言うか…いや、ごめんね?嫌だよね?うん。断って来るから」
「あ、のっ!ちょっと、待ってくださっ!」
テンパりつつ、とりあえずマキさんを止めた。
待って、待って!
もし、俺だとバレてた場合、ここで会わなかったらどうなる?
どう思われる?
雅治さんに、何か、言われる?
ヤバいよ。上手く頭が働かない。
マキさんが、キョトンとした感じで俺を見た。
「いや、あの、…その店長さん、他に何か言ってなかったですか?」
恐る恐るそう聞くと、マキさんは首をちょっと傾げてこう答えた。
「いや、特に何も?…あ、大丈夫!さっきも変なことは何も言われなかったろ?見た目が変とか、佐藤くんのこと悪く思ってるとかは絶対ないから!…えーと、どうする?会ってもいい?いや、無理して会う必要はないよ?断っても全く問題ないし!」
マキさんは、俺に気を使わせないようにしてくれているのか、ニコッと笑ってみせた。
う、う…
「あの、俺が男だってことは…」
「あー…それは、多分分かってるかな?でもその上でモデルとして興味持たれるって、やっぱり素材が良いんだと思うよ〜?」
マキさんのその言葉に、俺の頭は真っ白になった。
楽観的には、もう考えられない。
きっとバレてる。
ここで逃げたいのは山々だけど、その後何が起こるか考えたら、そっちの方が余程怖い。
いっそここで対決した方が、気が楽なんじゃなかろうか。
もう、その選択肢しか考えられなかった。
「会い、ます」
俺がそう答えると、マキさんはビックリした顔をした。
「えっ?いいの?本当に?」
「はい…」
「無理してるよね?無理しなくていいんだよ?」
「いえ…マキさん以外の人の、意見も…聞きたい、ので」
そう伝えると、マキさんは「そっか、分かった」と言って部屋を出て行った。
なるようにしか、ならない。
悪いのは今ここにいる自分なんだから、と色々諦めた。
すぐにマキさんは戻って来た。
遥香さんを連れて。
俺は、遥香さんの顏をまともに見ることができなくて俯いた。
「こんばんは。篠崎と申します。ご協力ありがとうございます。牧村くんのモデルさんがすごく素敵だったので、私もお手伝いしたくなって」
そう、鏡越しに俺に話しかけてきた。
俺は何となく頷きを返すのがやっとだ。
遥香さん、俺に初対面みたいな挨拶をした…
これは、マキさんに俺との関係を知られたくないってこと?
…そりゃそうだ。
マキさんに何て説明するんだよ、俺のこと。
弟の恋人です、なんて、恥ずかしくて言える訳がない。
複雑な気持ちで…胸がズキズキと痛んだ。
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