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【後日談】一夜の夢、一生の誓い …43
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雅治さんが、身体を離して「はぁ」とため息を吐く。
何?何?
何で電話が??
雅治さんが、テーブルの上の電話の受話器を取った。
「はい……あ、はい。お世話になります」
フロントからかな?
と、雅治さんを見てると、テーブルの上に紙袋がある事に気付いた。
よく見ると、付箋の様なものが貼ってあって"佐藤様"と書かれている。
え?佐藤って…俺のこと?
「すみません。我儘言って。…いえ。……はい。分かりました。……よろしくお願いします。はい。失礼します」
雅治さんが受話器を置いて俺を振り返った。
「15分後に…ちょっと付き合ってもらいたいトコがあるんだけど」
あ、駐車場で言ってたやつかな?
「え?…うん。…何の電話だったの?」
「ん。…実は、ここのホテルに式場が付いてるんだけど…そこの見学をさせてもらおうかと思ってて…」
「……え?」
雅治さんが言った言葉を、反芻する。
式場?
見学?
何のこと?
突然言われた言葉に、ちょっと混乱する。
きっと間抜け面をしているだろう俺の顔を見て、雅治さんが、気まずそうにポリポリと頭をかいた。
「なんて言うか…実は、姉貴にこのホテルを紹介してもらったんだけど…。その時にここの…この上にある教会を見学してみないかと言われて…。まぁ、つまり、将来のために、そういうのも良いかな、と思って…」
え?将来…教会…
それって…
それって…!
その答えにたどり着いた時、かあっと頬が火照るのを感じた。
それって、結婚、のことだよね?
「えっ?あのっ、でも、男同士って…」
ここの教会って同性の結婚とかできるの?
待って、待って。
ちょっと、突然のことで、頭が混乱する。
「もちろん。先方は男同士って知ってるよ。その上で見学のOKをもらったから」
「っ!」
そう…なんだ。
そうなんだ!
うわぁあ…
嬉しい!
混乱しつつも、素直にそう思った。
結婚なんて、夢のまた夢。
見学だとしても、雅治さんとバージンロードを歩けるとしたら、すごく嬉しい!
二人で教会内に立つ事を想像して、手が震えた。
「見学、一緒に行ってくれる?」
「うん!行く!」
今女装中とか諸々気になることをすっ飛ばして、食い気味に首を縦に振ると、雅治さんが嬉しそうに笑った。
「で、15分後に担当者と待ち合わせる事になったから」
「なるほど、分かった」
えへへ、と笑いながら、雅治さんの腰に手を回して、ぎゅーっと抱きついた。
雅治さんも、ぎゅっと抱きしめ返してくれる。
雅治さんの我儘って、もしかしてこの事だったのかな?
これが雅治さんの我儘だとしたら…
あぁ、なんて嬉しい我儘だろう!
式場見学だなんて…
雅治さんがどんな風にそれを決めたか想像したら、思わず笑いがこみ上げて来た。
それにしても、良かった。
ホテル行かないとか馬鹿な判断しなくて良かった。
こんな素敵なサプライズが準備されていただなんて!
「あ、そうだ」
身体を離して、紙袋を指差した。
「ねぇ?これ、何かな?」
「ん?あ…佐藤って…陸、か?」
あれ?
雅治さんが準備した物かと思ったけど、そうじゃないみたい。
雅治さんと一緒に、紙袋の中を覗いた。
「服?」
袋の中には男物の服が入っている。
下着や靴まで。
どうやら、一式あるようだ。
「これは?」
雅治さんが袋の中から封筒を見つけたらしく、それを俺に差し出した。
開けてみると、俺宛のメッセージカードが入っていた。
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