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急接近 …3
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「小栗、見た目だけじゃなくて、趣味もジジ臭いしなぁ」
ほんのり顔が赤くなった加藤さんが、小栗さんをいじり始めた。
「趣味?」
ジジ臭い趣味って?将棋とか囲碁とか?と俺が首を捻ってると
「なんだっけ?太極拳?」
と、加藤さんが教えてくれた。
小栗さんと加藤さんって、お互いタメ口で仲良さそうだから同期とかなのかな?
それにしても、太極拳?
中国で公園とかでおじちゃんおばちゃんがやってるアレ?と、また首を捻ると
「あー。元々、中国拳法をやってたんだけどね。長いことやってたら飽きちゃって。そんな時、太極拳を知って。
こう、体幹を鍛えるって言うか。これやってれば、最強じゃない?みたいな事に気付いたワケ」
と、さっきまで口数が少なかった小栗さんが、スラスラ教えてくれた。
中国拳法?太極拳?
何かよく分からないけど、ケンカ強いってこと?
それ、カッコ良い!この引き締まった逆三角形の身体はやっぱり鍛えてるからなんだなぁ。
「出た〜!筋肉バカ!こいつね、太極拳ならどこでも鍛えられるとか言っててさ!出先のホテルとかでも鍛えてるらしいからね」
そう言って、加藤さんが手を叩いて笑った。
「いや、筋肉とかじゃないって。体幹鍛えるんだって。マジ良いよ?加藤もやってみなって」
「ハイハイ。あんま熱くなると佐藤君引くよ?」
「あ…」
そう呟いてこっちを見た小栗さんに、俺はブンブン頭を振った。
「いえ!何かカッコ良いです!中国拳法って、ジャッキーチェンとかみたいなアレですよね?あんな激しい動きが出来るとか尊敬ですよ。俺、運動得意じゃないし全然筋肉ないんで、本当に憧れます!」
そう言うと、小栗さんが嬉しそうな顔をして「じゃあ太極拳オススメだよ」と乗り出してきた。
どうやら、太極拳って激しい動きとかじゃなく、ゆっくりした動きで体を鍛えるらしい。
気をコントロールして、健康にも良いそうな。
「へえ、ちょっと興味が湧きました。でも、やっぱり筋肉ないんで無理そうだなぁ」
「呼吸だけでも、だいぶ変わるよ。これ覚えたら、身体をリラックスさせられるし、ストレス解消にもなるよ」
ストレス解消?それはかなり興味ある!
「呼吸って、どうやるんですか?」
「丹田から腹式呼吸するんだよ」
「たんでん?」
と、俺が今日何度目かの首を捻ると
「おへその下。ここだよ」
と言って、小栗さんが右手で俺のおへその下辺りをグッと押した。
「!!へ、へえ!」
ちょっ…今、今!!
小栗さんの小指が俺のナニをかすめたんですけどっ?
し、しかも…かすっただけなのに、何故かピクリと反応しちゃったんですけど…
ヤバイ!ナニ俺。
こんな事で反応するとか、超恥ずかしい!
う、う…
酔ってんのかな?
俺は動揺を隠すように、ビールをあおった。
はーー…
てか、こんなとこいきなり触るとか、小栗さん、どんだけ太極拳に熱くなるんですか!
「こ、今度、やってみます」
と、俺がカミカミで返事したのを加藤さんが見て、笑いながら「な、小栗。佐藤君引いてるし。もうそこまでにしときなって」と、この話を終わらせた。
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