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初めての朝
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♪♪〜
…どこからか、聞いたことのあるメロディが聞こえる…
あ、スマホでセットした目覚ましだ…
止めなきゃと思うけど、いつもより遠くで鳴っているみたい…
あれ?昨日どこにスマホ置いたっけ?
寝ぼけ眼で部屋を見渡すと、床には散らばった服…
あ!そうだ。
俺、昨日、小栗さんと…
それを思い出したら、一気に目が覚めた。
そおっと隣を見ると、小栗さんの寝顔がすぐ近くにあった。
整った綺麗な寝顔。
…キス、したいな…
って!いやいやいや!!
昨日の今日で、俺はどんな顔して小栗さんと会えばいいんだ。
あうあうぅ…
とりあえず、パンツ一枚だった格好が恥ずかしくて、そおっとベッドを出て、服を集めて着込んだ。
これからどうしよう。。
昨日のは酔った勢いだった。
そう片付けるのが大人なんじゃないか?
付き合ってもいない人とあんな事になっちゃって…
しかも、男同士とか…
男女なら、これから何か発展があったりするかもしれないけど、俺達は…そうじゃない。
そう考えると、胸がチクチク痛んだ。
これで終わりの関係?
それは…嫌、だ。
なかったことにはしたくない。
本当に気持ちよかったし、今もこんなに離れ難い。
なんでか分からないけど、小栗さんにもっと近付きたい。
でも、小栗さんはどうなんだろう?
うーん…
男同士で、どうこうなりたいとか言う人に見えない。
それに、何より仕事のお客さんなんだ。
迷惑かけちゃいけないし、重荷とか負担になるのはダメだ。
今後も仕事でお世話になるだろうから。
だから…だから、やっぱり
「んん…」
その声にベッドを見ると、小栗さんがうっすらと目を開けた。
震える瞳で俺を捉えると、薄っすらと微笑んだ。
「おはよ」
「おはよう、ございます」
き、気まずい。
起き上がってベッドに腰掛けた小栗さんが、俺から目をそらす。
「あー。…昨日は、ごめん。…その…」
うん。分かってる。
「えっと、大丈夫です。酔った勢いで、変なことになっちゃいましたね。…その、すみませんでした」
「いや、俺の方こそ…」
小栗さんは、すごくバツの悪そうな顔をした。
そんな顔、させたくない。
小栗さんには、堂々とかっこ良くあって欲しいんだ。
「俺、部屋に戻りますね。
昨夜の事は、忘れますから。小栗さんも気にしないでください。
また、仕事ではお世話になりますね。あはは」
小栗さんが俺を見た。
何か言いたそうに口を開いたけど、すぐに顔を背けた。
「っ…。あぁ。そうだね。…酔った勢いだった。俺も忘れるよ。
すまない。
……ありがとう」
「はい。では、失礼します!」
最後の『ありがとう』と言う言葉が、辛かった。
この変な雰囲気に耐えられず、俺は荷物を引っつかんですぐに部屋を飛び出した。
うん、忘れよう。
なかったことにしよう。
それが、お互いの為なんだ。
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