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プレゼント
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6月に入ってすぐの定時後、アキちゃんから1通の封筒をもらった。
「これ、何?」
「あっ!中は帰ってから見てください!ではっ、お疲れ様でした」
何だろう?と、とりあえず言われた通りに家に帰ってから開けてみた。
「ハンカチと…優待券?」
同封されていた可愛らしいピンクの便せんを開く。
ーーーーーーーーー
佐藤さん
少し早いけど、誕生日おめでとうございます!
実は、制御部の部長さんが、水族館のポンプ制御の業務に携わっていて、そこの優待券を何枚かもらったそうなんです。
そこから二枚おすそ分けをいただきました。
先日ご飯に行った時、佐藤さん楽しそうに水槽を眺めていたので…佐藤さんにプレゼントします!
ぜひ、おぐりさんと行ってください♪
って、人からもらった物がプレゼントっていうのもおこがましいので、ハンカチもオマケで付けました。
気に入ってもらえると嬉しいです。
佐藤さんにとって、素敵な一年になりますように…
秋吉
ーーーーーーーーー
うわ!そうだ!
もうすぐ俺、誕生日だ。
ちなみに6/10。来週半ば…
俺、あの日そんなに楽しそうに水槽見てた?
でも…まあ、確かにあれ見て水族館行きたくなってたのも確かだ…
"アキちゃん、プレゼント受け取りました。ありがとう"
アキちゃんにお礼のLINEを送る。
"たいしたものじゃなくてスミマセン。水族館、どうだったか教えてくださいね"
うひひ、って感じの顔スタンプが付いた返事が来た。
はは。
オマケにしては高そうなブランドのセンスの良いハンカチと、水族館の優待券を握って、しばらく考えた。
小栗さんの事を考えると、河野さんの顔がチラつく。
アキちゃんに聞いてもらいたい気もするけど、特にあれから河野さんから何かされた訳じゃない。
その程度で後輩の女の子に相談っていうのは、俺の男としてのプライドがそうさせなかった。
色々考えても、結論は一つ。
…うん。小栗さんと行きたい。
早速、小栗さんにLINEを送る。
"水族館の優待券を二枚もらったんですけど、今週末暇だったら一緒に行きませんか?"
送った後で、ちょっと後悔した。
男同士で水族館とか、変かな?
でも、送ったもんは戻ってこない。
なかなか既読が付かず、今日はもう返事ないかなーと思って布団に入った所で、小栗さんから着信があった。
「もしもし!」
『佐藤くん?遅くに悪いね。寝てた?』
「いえ、大丈夫です!小栗さんは…残業だったんですか?」
『ん、さっき帰って来た。って言ってもホテルなんだけどね。今、九州にいるんだ』
はぁと、小さくため息が聞こえてきた。
九州…出張…
疲れなのかちょっと掠れてるけど、明るく喋ろうとしてくれているその声が、妙に色っぽくてドキドキする。
仕事中には聞けない、優しいトーン。
「そ、そうなんですか。あの、出張は…その…一人で?」
『ん?一人だけど?』
そっかぁ…良かった。
『あ、水族館、誘ってくれてありがとう。せっかく誘ってもらったんだけど…来週まで九州なんだ。だから今週末は…』
「あっ!いえ!スミマセン、直前になって誘ったりして…!しかも、二人で水族館とか…迷惑ですよね?」
『え?なんで?嬉しいよ?…あ、ねぇ、来週末はどうかな?』
嬉しいって言葉に心が跳ねた。
本当かな?
しかも、来週なら会える…
優待券は7月19日まで有効だ。
夏休みに入る前までって事だろう。
「来週末は、日曜日なら空いてます!」
『ん。じゃあ来週の日曜日に』
やった!水族館誘っても引かないでくれた!
しかも、嬉しいって…へへ…
もう少し小栗さんの声を聞きたかったけど、疲れてるだろうからすぐに電話を切った。
来週の日曜日、会える。
そんな些細な約束が、俺を頑張らせてくれる。
小栗さんは俺を喜ばせる天才だよ…
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