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漫画みたいな …2
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男に腕を引かれる。
どうしよう!
力では全然敵いそうにない。
怖い!
そう思ってギュッと目をつぶった時…
「あれ?佐藤君?こんなところでどうしたの?」
静かだけど…でもお腹に響くような強い声がした。
知っている声に、振り向くと…
雅治さん、だ!
どうしてここに?とか思うより先に、なんとも言えない安堵と言うか嬉しさが込み上げてきた。
まるで、漫画のヒーロー登場みたい。
「はぁ⁈部外者は邪魔しないでくれる?」
強面兄ちゃんが叫んだ。
雅治さんは、いつものハリウッドオーラの笑顔。
…ううん、目が笑っていない。
薄っすらと口に弧を描いて、すごく怖いオーラで俺のところまできた。
「佐藤君、この人たちは友達?」
聞いたことのないような冷たい声で微笑む。
「えっ⁈いえ、違いますッ」
「そう…」
そう呟くと、雅治さんは俺の腕を取っている男に目を向けた。
「じゃ、その子、返してくれる?」
「はぁ?邪魔すんなよ。…あ、何?お前もオタノシミに加わりたいの?」
そう言って、男が気持ち悪い笑いを浮かべながら俺の肩を組んで引き寄せた。
自分の顔が引きつったのが分かる。
「離せ」
それを見た雅治さんが、笑みを消して男の肩に手を置く。
「はぁ?お前何様…」
男が俺の肩から手を離して雅治さんの腕を掴もうと逆の手を伸ばす。
雅治さんが肩に置いた腕を振ったかと思えば、その男はくるりと回転するように横に倒れた。
…え?何が起きたの?
雅治さんはフッと鼻で笑うように、目だけで男を見下ろした。
「お前、俺のツレに何しやがった?」
それまで無関心そうに黙っていたドレッドの男が、雅治さんの前まで来た。
怖いぃ!
すごい怒ってる!
「何も?」
しれっと答えた雅治さんに、ドレッド男が「あぁ⁈」と、掴みかかった。
胸ぐらを掴んで雅治さんを睨む。
うわ、うわ…どうしよう?
雅治さんがいくら強くても、相手は3人だし、何よりこのドレッド男、体格も良くて、超強そう!
ま、雅治さん!!
「お前、アニキに喧嘩売ったらそのムカつく顔、跡形もなくなるぜ?つか、恐くて動けねーのかな?きゃはは!」
後ろで見ていた強面兄ちゃんがバカにしたように笑う。
「シャツが伸びるから、手、離してくれる?」
雅治さんが口だけ笑ってそう言いながら、ドレッド男の手首を掴む。
ドレッド男の眉がピクリと動いたのが見えた。
さっき雅治さんに投げられた男が、ようやく立ち上がって叫ぶ。
「ッチ!お前、調子のんなよ!」
ドレッド男が目だけその男に向けて「おい、手ぇ出すな」と言った。
男はそれを聞かず雅治さんに手を伸ばす。
けれど、雅治さんの方が早く、その男の腕を掴んだ。
…いや、掴んだか分からない。
とりあえずまた、さっきのように男が中に浮くように回転して…地面に転がった。
雅治さん…すごい!
中国拳法の技なのかな?なんか、漫画とか映画みたい。
カッコイイ!!
そのまましばらく(と言っても、数秒だったかもしれない)雅治さんとドレッド男が睨み合った後、ドレッドが舌打ちをしながら雅治さんを離した。
「シラけた。…行くぞ」
そう言って、路地の方に足を向けた。
残りの二人は「えっ?やらないんスか⁈」とか言いつつも、そのドレッド男の後を追った。
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