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漫画みたいな …3
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「フゥ…」
雅治さんが軽く息を吐いたのをきっかけに、俺たちの周りの空気が動き出した。
「ま…小栗さん、ありがとうございました!」
「いや、ケガはない?」
「はい!」
俺が笑って見せると、雅治さんも、余所行きじゃない笑顔を返してくれた。
雅治さんに近付こうとしたその時、俺は自分が震えている事に気付いた。
怖かったのもある。
けど…ドレッド男と睨み合っていた雅治さんが、俺の知らない人だったんだ。
ドレッド男も多分、雅治さんの気迫と言うか…冷たいオーラと言うか…そう言うのに負けたんじゃないかと思う。
あの目…すごく、怖かったもん。
まだまだ俺の知らない雅治さんがいる。
今こうやって俺の知ってる笑顔の雅治さんを見たら、それに触れたくて、温もりを感じたくて、どうしようもなくなった。
「あの!ありがとうございました!」
高橋が近寄って来て頭を下げたのをきっかけに、皆が雅治さんにお礼を言った。
「たいしたことしてないよ?」
と、今度はハリウッドオーラ全開の笑顔を皆に向けた。
「いえ!本当にカッコ良かったです!本当に助かりました!」
うんうん。雅治さん、本当にカッコイイ。
案の定、女の子たちの雅治さんを見る目が、キラキラしてる。
いや…今回は女の子達だけじゃなく、野郎どもも同じ目で雅治さんを見ていた。
あぁ…俺の雅治さんなのに〜…
高橋は余所見をしてた事を誤ったけど、相手が悪かったのは不運な事故としか言いようがないから、誰も彼を責めなかった。
それから「どういう知り合い?」とか「何してる人ですか?」とか、皆が俺と雅治さんに質問を浴びせ始めた。
すると、オカがそれを遮るように高橋達に声をかけた。
「高橋!お前らカラオケ予約してなかった?時間、大丈夫か?」
「えっ⁈あ、そうだった!」
カラオケ組が、行くとか行かないとかで話し出すと…
「じゃ、俺らは帰るか!」
と言って、オカが俺と亜由美ちゃんを見た。
「えっ?あ…そうだね。帰ろう」
俺が雅治さんをチラリと見ると…
「佐藤君、帰るなら送ろうか?俺、車だし。家、近くだったよね?…友達も良かったら、送るよ?」
と、雅治さんが言ってくれた。
嬉しい。
今は少しの間でも離れるのが、なんか嫌だったから。
ちなみに、家が近いってのは、雅治さんの嘘。
「あ…は「いえ、俺たち電車で帰ります」」
俺が誘いを受けようとしたら、オカがそれに被せるように断った。
ええっ?
オカ、なんでそんな態度なの?
…まさか、この人が俺の彼氏って気付いた?
「そっか…じゃあ気を付けて」
「いや、オカ君!送ってもらおうよ!私、車がいいな!ねっ?」
今度は亜由美ちゃんが被せ気味にそう言って、オカに迫った。
亜由美ちゃん??
「さとちゃんも車がいいでしょ?ね?ハイ!2対1で、車に決定〜!」
「えっ?あ…でも…」
オカ、タジタジ。
「えーと、小栗さん?お願いしてもいいですか?」
「あ、うん。どうぞ」
雅治さんも亜由美ちゃんに押され気味に返事した。
亜由美ちゃんって、こんな性格だったかな?
社会人になって、強くなったんだろうか?
カラオケ組に別れを告げると、女子から羨望の眼差しを受けながら、俺たちは雅治さんの車へと向かった。
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