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新人との対面 …1
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プログラム作成の途中で、何度もS電機に質問を投げかけていたら「今度、会って打ち合わせしましょう」と言われた。
ちなみに、今やりとりしてるのは、雅治さんの課の課長さん。
雅治さんは、納品作業から加わることになるっぽい。
S電機での打ち合わせは、雅治さんが出張から戻って来る日の午後に設定された。
そして、打ち合わせの日。
はじめ、俺の上司の佐々木さんと一緒に伺う予定だったんだけど、佐々木さんがトラブル対応で行けなくなって、俺一人でS電機に向かった。
社内の指定された打ち合わせスペースに、時間通りに着くと、課長さんが一人で出迎えてくれた。
「佐藤さん、お疲れ様です」
「お世話になっております。申し訳ありません、佐々木も来る予定だったのですが…」
「あぁ、聞いてますよ。こちらこそ、担当の小栗がまだ出先から戻ってきてなくて申し訳ないんですが…。時間もありませんので、始めましょう」
「はい。よろしくお願いいたします」
雅治さん、参加する予定だったんだ…
なんだか残念な気持ちになりつつも、仕事に意識を置いて、打ち合わせを始めた。
打ち合わせを始めて30分くらいした時、会議室のドアをノックする音が聞こえた。
「どうぞ」と課長さんが応えると、ドアがゆっくりと開いた。
「遅くなって申し訳ありません」
と、顔を出したのは…雅治さんだった。
わぁ!
今、出張から戻って来たのかな?
まさか、今日会えるとは思ってなかったから、すごく嬉しい!
半月ぶりくらいに見るその姿は、少しやつれたような…疲れた感じで、いつもよりオーラが薄かった。
「おー、間に合ったな」
「すみません。…あ、佐藤君…久しぶり」
雅治さんが、俺を見て優しく微笑んでくれた。
顔がニヤけるのを必死で我慢して、立ち上がる。
「小栗さん、お世話になっております。今回もよろしくお願いいたします」
下げた頭を上げて雅治さんを見ると、雅治さんの後ろからヒョイっと女の子が顔を出すのが見えた。
え?
その様子に、ツキン…と胸が痛んだ。
この子が、例の新人の子かな。
まるで雅治さんを盾にするようなその様子は、雅治さんに守られてるように見える。
…俺が意識し過ぎなだけだろうか。
だって、なんか…距離、近くない?
身長は、雅治さんの胸に届かないくらい。
ゆるくカールした髪を二つ結びにしていて、幼可愛い感じの女の子だ。
「あぁ、こちらは松井です」
俺の目線に気付いたのか、雅治さんが紹介してくれた。
雅治さんに「松井」と紹介されたその女の子は「あ!えと…名刺入れ!」と手元の資料の山をテーブルに置いて、何かを探しだした。
そうして、資料の中から名刺入れを見つけた彼女は、俺の隣に来てニコッと笑いながら俺の目を見た。
「松井まりなと申します。この度、こちらの部署に配属されました。まだ色々と勉強中ですので、ご迷惑をお掛けするかもしれませんが、よろしくお願いします♪」
そう言って、首を横に少し傾げて、名刺を差し出した。
…最後の「♪」は、俺が勝手に脳内で付けたけど、そんな明るいテンションの女の子だった。
新卒だろうから、22か23歳?のはずだけど、10代にしか見えない。
まぁ、見た目は俺も人のこと言えないけど。
「T制御エンジニアリングの佐藤と申します。よろしくお願いします」
俺も名刺を出して、交換した。
「さとう…りく、さん。わぁ。陸って、素敵な名前ですね!」
名刺から顔を上げた松井さんが、またニコーッと笑った。
花と言うか、小動物と言うか…クリッとした可愛さのある子だ。
周りに明るさを与えるような、そんな感じ。
課長さんも、松井さんがここに入ってから、確実に表情が柔らかくなったし。
「…では、始めましょう」
ホンワカしかけた空気を破ったのは、雅治さんの真面目な声だった。
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