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新人との対面 …3
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「クリスマスまで出張かぁ…」
松井さんが、パソコンの画面を見ながらポツリと呟いた。
「何か、予定があったんですか?」
俺がそう聞くと
「そういう訳じゃないですけど…」
と、微妙な笑いを返された。
そう言えば、松井さんは彼氏いるのかな?
いそうに見えるけど。
…いや、彼氏がいて欲しいのは、俺の願望か…
「お二人は、クリスマスは予定はないんですか?」
パソコン画面を眺めながらメモを取っていたら、突然松井さんにそんな事を聞かれた。
「え?」
なんでこんな事を聞くんだろう?
…あ。
彼女がいるか探られているのかも?と思った時、雅治さんが松井さんにシレッと返事をした。
「今、仕事の予定が入ったけど?」
「えっ?フフッ!そうじゃないですよぅ!例えば、彼女とかと予定はないんですか〜?って聞いたんです」
おお…やっぱりそっちか…
そう言えば、雅治さん、松井さんとそんな話してるのかな?
長い時間一緒にいたら、プライベートの話もするよね?
雅治さんは、そんな松井さんに一つも表情を変えずに、パソコンを指差した。
「松井さん。このスケジュール、プリントアウトするから、プリンタから取ってきて」
「えっ?……あ!はい!」
松井さんは一瞬戸惑ったものの、ガタッと音を立てて立ち上がって、すぐに会議室を出て行った。
そう言えば、プリンタは会議室の外の一角にある。
ドアが閉まると同時に、雅治さんが「余計な事を…」と呟いてポケットから俺がプレゼントしたキーケースを取り出した。
「ね?陸、今夜空いてる?」
「えっ?…はい、空いてますけど…」
"陸"と言われた事にドキドキしながら返事すると、キーケースの中から鍵を一つ外して俺に手渡した。
「うちで待ってて」
「え?」
「泊まりにおいで」
手の中の鍵と、突然のお誘いに俺がびっくりしていると、ドアをノックする音が聞こえた。
慌てて鍵をポケットにしまうと、ドアが開いて松井さんが入ってきた。
「お待たせしました。これで良いですか?」
「…あれ?もう一枚出したハズだけど?」
「えっ?すみません!見てきます!」
そう言って慌ただしく彼女が出て行くのを見送った後、雅治さんが立ち上がって、テーブルに手をついて俺の方に身体を乗り出した。
「陸…」
そして、俺の胸ぐらを掴んで引き寄せた。
「っ!…ん」
力強く唇を押し付けられる。
一瞬、何が起こったか分からなかった。
「陸が足りない」
唇に触れながらそう囁かれたあと、再び唇が重なった。
唇は一瞬で離されて、雅治さんは何事もなかったかのようにストンと元の席に腰を下ろす。
…キス…された。
嬉しさで放心しそうになった俺を、ドアをノックする音が現実に引き戻した。
すぐに、松井さんが入って来る。
「あの、すみません。他には何も出てなかったですけど?」
「え?あぁ、ごめん。勘違いだったかな」
そう言った雅治さんは、ニヤリと俺に流し目を寄越した…
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