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不安定な気持ち …1
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次の週末は、雅治さんは九州に前乗りで、会う事は出来なかった。
俺は、雅治さんへのクリスマスプレゼントを買いに出掛けた。
悩みに悩んで…選んだのはマフラー。
プレゼント包装をお願いするのが、やけに恥ずかしかった。
店員さんは変わらない笑顔で対応してくれて…助かった。
そして月曜日。
荷物に雅治さんへのクリスマスプレゼントも詰めて、九州に飛んだ。
プレゼント、渡すタイミング…あるといいけど…
ちなみに、今回は佐々木さんはいなくて、俺一人で対応です。
午後、S電機の受け付けに着くと、迎えに来てくれたのは松井さんだった。
「佐藤さん。お疲れ様でーす♪」
「お世話になります。…松井さんも前乗りだったんですか?」
「そうです。先週金曜日から…。って、なんで前乗りって知ってるんですか?小栗さんから聞きました?」
あ、しまった。
「そ、そうです。前乗りするって小栗さんに聞いていたので…」
やばい。
気になってつい聞いてしまった。
前乗りって聞いたのは、プライベートの時だった。
気をつけないと…
土日はどうやって過ごしたのか気になるけど…
これはあとで雅治さんに聞こう。
…聞くタイミングがあれば、だけど。
それから、作業ルームに移動して、早速作業を開始した。
雅治さんは別の仕事を掛け持っているようで、すぐには顔を出さなかった。
プログラムを機械に組み込んで、最初の動作確認が無事に終わった時、後ろから声をかけられた。
「お疲れ様。初動作はどうだった?」
「あっ♪小栗さん!お疲れ様です〜」
雅治さんが、疲れた顔で後ろに立っていた。
慌てて立ち上がって挨拶をする。
「お疲れ様です。今回も宜しくお願いします」
「こちらこそ、宜しく頼むよ」
「少しデータに誤差が出ましたけど、特に大きな問題は無さそうでした」
松井さんが仕事モードな感じになって、雅治さんにそう伝えた。
「そう。良かった。実は今から緊急で流す製品が入ってしまって、19時以降はここが使えないんだ。だからキリの良いところで終えてもらえる?」
「分かりました」
「松井さんも、これが終わったら今日はもう良いよ」
「はい。…小栗さんは?」
「俺はまだ別件があるから。…それじゃ佐藤君、申し訳ないけど、宜しくね」
「はい!」
雅治さんは、少し微笑んだ後、すぐに去って行った。
本当に忙しそう…。
体調、大丈夫かな?
いつもより疲れた感じの背中を見送っていると、松井さんから声をかけられた。
「じゃ、佐藤さん、ササっと片付けちゃいましょう!」
「あ、はい!」
そうして、取れるだけデータを取って、後はホテルでまとめる事にした。
作業を終えたところで松井さんから夕飯に誘われた。
「せっかく早く終わったし、良かったら夕飯一緒にどうですか?…こっちに来て夕食はコンビニのお弁当しか食べてないんです。なんか温かいもの、食べに行きませんか?」
あう…
本当は、松井さんと二人になるのは嫌だった。
仕事から離れると、『牽制』かもしれなかったあれやらこれやらが思い出されるから。
だけど、断る理由なんてない。
何せ、俺は下請けの立場だもんなー…
「いいですね、行きましょう」
と、営業スマイルで返事をした。
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