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少しの変化 …4
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「ところで、松井ちゃんは?彼氏いるの?」
加藤さんが、不意に松井さんに話題を振った。
「えっ?そうですね〜…最近までいたんですけど…」
「へえーそうなんだ。なんで別れちゃったの?」
えっ?加藤さん、それ聞いちゃう?
「他に……気になる人が、出来たから…」
松井さんがモジモジしながらそう言った。
あー、恋する乙女?って感じで、可愛いなー。
チラッて雅治さん見ちゃって…
雅治さんは、焼き鳥見てるけど…
「あれっ…松井ちゃんの気になるひ「加藤さんは彼女いらっしゃるんですか?」」
加藤さんの発言に、松井さんが食い気味で質問をかぶせた。
「え?あ、あぁ、いるよ。それがさー、今日夜勤でさー。クリスマスなのに、会えなくて…」
いつかの時みたいに、加藤さんの愚痴だか惚気だか分からない話が始まった。
それから2時間弱くらい、たわいもない話で盛り上がった後、雅治さんがトイレで席を立った時のこと…
「松井ちゃんも、小栗に惚れたクチ?」
なんて、酔った加藤さんが言った。
「えっ?あはは。なんですか?それ〜」
松井さんは笑って加藤さんの質問を受け流す。
「あいつさ、彼女いても、タイミング良く誘ったら相手してくれるよ」
「えっ?」
松井さんが、少し嬉しそうにしたような気がした。
表情は変わらないけど。
…危ない。
今、グラスを口にしてなかったら、俺も声が出てた。
やっぱり、雅治さんって遊び人だったのかなぁ。
…じゃあ、今は?
「って言うのが、俺の知ってる昔のアイツなんだけどね〜。
ある時から仕事と趣味が恋人みたいになってさ。浮いた話聞かなくなって。今やその…彼女とやらのせいか、さらに付き合い悪くなったって、本社の同期が言ってたぜ。松井ちゃんも、もう少し早く出会えてたらねぇ…」
「…へぇー」
松井さんが、少し悲しそうにしたような気がした。
うん。
表情は変わらないけど。
…てか…そっか。
そっかぁ。ふふ。
「一体、どんなペット飼ってんだか…」
え?
…ペット?
加藤さん、雅治さんの彼女はペットだと思ってるの?
「プッ!」
加藤さんのつぶやきに我慢できずに笑ってしまった。
「何?佐藤君、今笑ったろ⁈」
「いや、だって、ペットって…」
「だって、あいつが誰かを甘やかしてるの、想像出来ねーもん。でも、犬とか猫とかなら分かる」
「フフッ!」
本当、加藤さんの中の雅治さんって、どんなイメージなワケ⁈
ただ、今の笑いは、面白いのと…嬉しいのとが半々だった。
だって…雅治さん、俺を甘やかしてくれる、よね?
「いや、本当、小栗は人間味がないとゆーか…」
「こら。人がいない間に何話してんだよ」
トイレから戻ってきた小栗さんが、加藤さんを小突いた。
それからすぐ、その場はお開きになった。
加藤さんは、今から地元の友達と会うとかで、飛ぶように帰っていった。
店を出て3人で、ホテルの近くまで来た時に、松井さんがモジモジしながらこんな事を言い出した。
「あの、小栗さん。良かったらこれからバーとかに飲みに行きませんかっ?」
「え?」
え?
「あの、その…私、職場の忘年会にも参加出来てないですし、小栗さんともう少し話したいなと思って…どうですか?」
松井さんが、頬を染めた可愛い笑顔を雅治さんに向けた。
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