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友人からの忠告 …4
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「トイレの帰りに二人を見かけて……って、それはいいの。置いといて。だからね、オカくんの言う通り、さとちゃんはもっと自覚すべきだよ」
亜由美ちゃんが人指し指をビシッと立てて俺に突き出した。
「さとちゃんって、なんか女の色気みたいなのが出てるんだよねぇ。なのに、その自覚がないから無防備に見えるの。だからお持ち帰りしてやろうみたいな輩が湧いてくるって訳よ」
「女の…色気?」
「そう!いっその事、自分は女だ、くらいに思って、男に隙を見せないようにしないと。いつか食われちゃうよ」
「食われ…って…」
亜由美ちゃんのストレート発言に、ちょっとタジタジになった。
「そう。そんな事になったら、小栗さん泣いちゃうよ?いや…事件になるかな…。だから、認めよう。自覚しよう?今のさとちゃん、男からも狙われてるって。男にもモテるって」
男にモテる…
そんな自分は、なかなか認めにくい…
「…てゆーか…俺、そんなに変わった?…髪伸びたとか、そーゆー事じゃなくて?」
亜由美ちゃんとオカが同時に頷いた。
「雰囲気とか、ふとした時の表情とか…すっごい柔らかくなった。とくにお酒入ると、それが出てくるよ?女の私でもドキッとする時あるから…男の人も、イチコロじゃない?」
うーー…ん。
自分じゃよく分からない。
けど、亜由美ちゃんもオカも、決してふざけて言ってる雰囲気じゃない。
「えーと…俺はどうすれば?」
「だ、か、ら!自分が男にも狙われてることを自覚して、ちゃんとそーゆーのから逃げろって事だよ!森ので分かったろ?」
オカが力説した。
「うぅっ…」
森くんの事を言われると…確かに俺は何かを自覚して、ちゃんと対応すべきなんだと思う。
亜由美ちゃんが突然目をキラキラさせて、こう言った。
「森くん、怖いよねぇ。…そうだ!帰り、小栗さんに迎えに来てもらったら?」
「えっ?でも、今日友達と飲むって言ってたし…」
「関係ないよぉ。小栗さんって、かのじ…じゃない、彼氏が困ってんのほっといて呑気にお酒飲んでるような人なの?」
「そんなこと…ない…けど…」
迷惑はかけたくない…
「付き合ってんなら、迷惑かけてナンボだろ?」
オカが、俺の考えを読み取ったように言った。
それから、二人の前で雅治さんに連絡させられた。
カラオケ後に迎えに来てもらう事をお願いしたら、雅治さんはあっさり『いいよ』って言ってくれて…
甘えるのって案外難しくないのかも?とちょっと思った。
そして…
二次会終了後。
カラオケ前で忘年会は解散となり、俺はオカと亜由美ちゃんに挟まれて駅まで向かっていた。
「亜由美ちゃん…実はイケメンの小栗さんを見たいだけだろー?」
オカがニヤニヤしながら言った。
「えっ?違うよ!小栗さんとさとちゃんのツーショットが…いや、違う。ちょっと幸せをお裾分けしてもらいたいってゆーか…うん、さとちゃんの安全の為だよ!」
亜由美ちゃんは一人でウンウン頷きながらそう言った。
亜由美ちゃんって…なんか面白い。
駅に着いてすぐに雅治さんを見つけた。
キラキラして、本当に目立つ人。
向こうもこちらに気付いたみたいで、雅治さんのそばに行こうとしたら、誰かに肩を掴まれた。
「さとちゃん、見つけた!」
「え?森くん?」
森くんが息を切らしながらそこにいた。
「森くーん?変なことするとリーさんにチクるぜ?ドンに目ぇつけられたら、もうゼミの集まりに呼ばれないからな?」
オカが睨みつけるようにそう言った。
「いや、そんなんじゃないよ。ね?さとちゃん、LINE交換しよ?」
「え?」
「友達だろ?そんくらいならいーよな?な?」
森くんが、ニッと笑いながらスマホを差し出した。
さっきオカと亜由美ちゃんに色々言われたけど、これを断る理由は思い浮かばなかった。
二人も、難しそうな顔をしてるけど、何も言えないみたい。
本当は嫌だけど…仕方ない。
スマホをポケットから取り出した時だった。
「陸、お待たせ」
雅治さんが満面の笑みでそこにいて、俺の肩から森くんの手をスルリと払うように外した。
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