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雅治さんの友人 …1
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スポーツクラブが入っているビルの最上階。
レストランの窓際に、俺とアキちゃん、向かいにヤマさんが座る。
今だにこの展開についていけない俺は、ソワソワが治らない。
注文を終えたヤマさんが、まず口を開いた。
「早速なんですが…ここからは、スポーツクラブの店長としてではなく、小栗の…オグの友達ってことで…いいかな?」
「あ、はい」
アキちゃんと二人で頷く。
「わー!サンキュ!てか俺、超、会いたかった!りっちゃんに!」
「えっ?りっちゃん?」
先ほどまでの紳士っぽい感じは何処へやら…
ヤマさんが急に友達のようにフランクな感じになって、俺に握手を求めた。
初対面なのに⁈とも驚いたけど、嫌な気分にならないのは、その爽やかな雰囲気のせいだろう。
握手に答えると、ヤマさんはすごく嬉しそうに俺の手を握った。
「あ、りっちゃんってのは、俺がつけたあだ名!俺がオグの真似して『陸』って呼び捨てにしたら、あいつ怒るからさー」
あだ名って…
って言うか、雅治さん、そんなことで怒るんだ?
なんか、照れる…
「もー、オグがなかなかりっちゃんに会わせてくれなくてさ!俺、取って食ったりなんかしねーのに。どんだけ過保護だっての!…プッ!」
ヤマさんは何かを思い出したように吹き出した。
…この人、見ていて面白い。
「で?…何だっけ?…何でオグに内緒でここ見に来たの?」
「あの…」
「うん?」
言おうかどうしようか、戸惑った。
でも、ヤマさんの笑顔が本当に良い人そうで…
まぁ、ここまで来ちゃったんだし、言ってしまえ!って気合いを入れた。
「実は…小栗さんが、なかなかジムの事を教えてくれなくて。以前に、行ってみたいって言った時も、なぜか保留にされちゃって…」
「へえ…。ね?ね?りっちゃんって、オグのこと『小栗さん』って呼んでんの?」
「え?あ、いや…名前で…」
「名前で?」
「まさはるさん…って、呼んでます」
この人、なんて恥ずかしい事を言わせるんだ!と思ったら、ヤマさんはすごく嬉しそうに、ほわっと笑った。
て、照れる。
その反応、照れる!
「あ、脱線してごめん!…それで?」
「う……で、何でジムに連れて来てくれないのか。その、雅治さんがここに何を隠してるのか、気になって…」
「あー。…なるほどね。オグがりっちゃんをここに連れて来てくれない、か…」
ヤマさんが、うーんと唸る。
その間に、ヤマさんが注文した唐揚げ定食と、俺たちのコーヒーが届いた。
店員さんが去ってから、ヤマさんが口を開いた。
「ごめん。それ多分…俺が原因だわ」
「「えっ?」」
アキちゃんとハモった。
ヤマさんが原因?
「食べながらでごめんね?…いただきます!…つまり、オグは、俺とりっちゃんを会わせたくなかったんだと思う」
ヤマさんに、会わせたくない?
「どういう、ことですか?」
「ん…。もしさ、オグがりっちゃんを連れて来た場合、初回のりっちゃんはトレーナーがサポートすることになる。…そうなったら、間違いなく俺がりっちゃんに付く…ってか、俺が付きたいからさ。…オグはそれが嫌なんだよ」
ヤマさんは、ニヒヒと笑って唐揚げを頬張る。
「小栗さんって、そんなことでヤキモチ妬くんですか?」
アキちゃんが、俺に申し訳なさそうにしながらも、そう聞いた。
「んん。…いや、…あ、確かに、あいつはりっちゃんに関してはすごいヤキモチ妬きな気がするけど。…そうじゃないよ?俺がりっちゃんに、変なこと言ったり聞いたりしないかが心配なの。それで、後から自分が弄られるのが嫌なのさ」
「変な…こと?」
「…ん。そ。女の子の前じゃ言えないような?
…なんちゃって」
ヤマさんはイタズラっ子のような顔をして、アキちゃんを固まらせた。
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