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二人の時間 …1
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乾杯後、最初の一杯を一気に飲み干したら、雅治さんにビックリされた。
「そんなに飲みたかったの?」
そう笑いながら、空いたグラスにワインを注いでくれた。
「ううん。でも…なんか、飲みたい気分」
二人でラグに座って、ソファに背を預けて、なんとなくつけているテレビを見る。
グラスを取って、再びソファに寄りかかる時、雅治さんと肩が触れるくらいの位置に背を預けた。
「あのさ、今日の帰り道で河野と松井、なんかあった?」
雅治さんがグラスを傾けながらそう聞いた。
「んー。あったような…なかったような」
どうしよう。
さっき松井さんが言ってた事が気になってるって事だよね?
河野さんの言ってた事は、俺から雅治さんに言えるような事じゃないし…
どう言えばいいか…
「陸さ…もしかして、見てた?」
「えっ⁈なに、を?」
「さっきの、俺と松井のやり取り」
雅治さんが俺の顔を覗き込むようにしてそう聞いた。
う…
バレてる?
見つかってた?
「松井が何しに来たか、聞かないから」
「あ…」
そうだ。
普通なら、一番に質問してもいい事なのに、それをしなかったら、そりゃ怪しまれるよね。
「うー。実は…隠れて見てました」
「そっか…」
雅治さんと二人でグラスを傾ける。
「松井が言ってたけど…河野とやり合ったのは本当か?」
「うーん。…やり合ったって言うか、松井さんが河野さんに一方的にケンカを売ったような感じ?…あ、でも河野さんは松井さんが言ったような酷い事なんて言ってないからね?」
俺がそう言うと、雅治さんがコクリと頷いた。
「うん。そんな事だろうと思った」
「…松井さんって……」
「ん?松井が、どうした?」
「あ、いえ。なんでもないです」
松井さん、雅治さんの事が好きで諦められないんだね、って言おうと思ったけど…
松井さんの代わりに俺がそう言うのも何かシャクで、言うのをやめた。
3杯目のワインを手酌する。
「ねぇ、二軒目、どこ行ったの?」
今だに、雅治さんに抱きついたことにヤキモチ妬いちゃってる俺は、もう、松井さんの話はしたくない。
そう思って話題を変えた。
「んー…ラウンジ」
「あー、だからだぁ!」
さっきから、気になっている事があって、ぷぅと頬を膨らませて見せた。
「え?何?」
「腕のとこ…女物の香水の匂いがする」
「…あー…」
雅治さんが、自分の腕を匂って「ごめん」と謝った。
隣に座った女の人が、やけに腕を触ってきたんだって。
仕事の付き合いで連れてかれたんだから、仕方ないけど…
「やっぱり、モテるんだね。そう言う店でも」
「あんな店でモテたって嬉しくないよ。分かるだろ?」
「うん。まぁ…」
そうだけど…なんか…
「ヤキモチ?」
雅治さんが、嬉しそうに言う。
「……」
ヤキモチです。
でも、認めるのが嫌で、無言でグラスを傾けた。
「その女が陸だったらいいのにって思いながら時間を潰したよ」
雅治さんが楽しそうに話し出した。
「え?…お酌、して欲しい?」
お酒を注いで欲しいのかな?と、ワインのボトルを手にした。
「フッ…それも嬉しいけど……」
雅治さんが俺にワインを注がれながら、思い出し笑いをした。
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