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昼食会
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週明け、プログラムの一通りのミス修正が済んだ後は、データを取得して、細かな動作不備がないかの確認作業へと移った。
この作業に入ってから、河野さんが半日くらい俺に付いてくれる事になった。
ああでもないこうでもない、と河野さんとやり取りしながら、どんどん問題を解決していくのは、とても面白い。
ちなみに、佐々木さんの方には松井さんが付き切りらしい。
雅治さんは、別の仕事が忙しいとのことで、1日の終わりの確認作業に顔を出す程度だった。
その週の金曜日、渡辺課長さんの提案で、皆で一緒に昼食に行くことになった。
と言っても、雅治さんは忙しいらしく、遅れてくるとのこと。
皆でテーブルについて食べ始めてすぐに、雅治さんが食堂に入ってきたのに気付いた。
あ、雅治さーん!
声を掛けようかな?と思ったら、俺の2つ隣に座った松井さんが「小栗さーん!ここですぅ!」と、俺より先に手を振った。
それに気付いた雅治さんが小さく頷いてから、トレイを手に取って昼食を取りに行く。
松井さんの声掛けに、数人の女性が振り向いたのが見えた。
…すごい。
雅治さんって、有名人なんだ。
まぁそうだよなぁ。
あれだけカッコよくて、バレンタインにあんなにたくさんチョコをもらうんだから…
皆の会話に相槌を打ちながらも、つい、目は雅治さんを追ってしまう。
トレイを持って、定食の列に並ぶ雅治さんに、制服姿の綺麗な女性が声をかけたのが見えた。
あー…
女性が何かを話して、雅治さんがフッと笑うと、その女性も楽しそうに微笑み返した。
ズキン、と胸が痛む。
いくら、ハリウッドオーラのフィルターが掛かった笑顔でも、やっぱりヤキモチ妬いちゃう。
定食を取ってこちらを向いた雅治さんに、その女性は「またね」と口を動かして、腕をポンと叩いた。
あー…
モテモテだなー。
ふと、松井さんを横目で見ると、松井さんもその状況をチラチラと見ていた。
…気になるよねー。
まだ、雅治さんのこと、諦めてないのかなぁ?
ってゆーか、いつも一緒にいるんだから、そう簡単に次には行けないよなぁ…
雅治さんが俺たちのテーブルに来て、空いていた松井さんの前に座る。
「お疲れ様です」
「お疲れ様です♪」
「おー、お疲れー。忙しそうだなー」
ぐるりとテーブルを見回した雅治さんが苦笑いをする。
そして佐々木さんの方を見た。
「佐々木さん、なかなか顔を出せなくてすみません。ちょっとバタバタしてまして」
「いいえ!松井さんにちゃんと対応していただいてますので、大丈夫です」
「そうですか…。実は来週、出張が、入ってしまいまして…」
えっ⁉︎
「えっ?フラッシュ(多分、何かの製品のコードネーム)の現地か?あれは遠隔で進めるはずだったろ?」
渡辺課長さんが驚いた声を出した。
「それが、上手く動いてないらしく、直接現地に見に行く事になりました」
「こっちは大丈夫なのかよ?」
「向こうから松井さんのフォローはちゃんと入れます」
「そうか。無理だったら他のやつ充てるから」
「はい、すみません…」
雅治さんはそう言いながら、俺をチラッと見て、唇を微かにギュッと結んだ。
「出張って、いつからですかぁ?」
松井さんが不安そうな声で聞く。
「月曜からだよ。…大丈夫。ほぼデバッグは終わってるだろ?困ったことがあればすぐ電話くれればいいから」
「はい…分かりました…」
あぁ…来週出張かぁ…。
いつまでかな?
「そういう訳で、佐々木さん、すみません。ご迷惑をおかけしますが…。納品作業までには戻って来る予定ですので」
「分かりました」
納品作業は再来週の予定だから…来週一週間は出張なのかな?
仕事終わったら、聞けばいっか。
それから、たわいもない話題を交わしながら、昼食会は終了した。
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