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路地 …3
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ゾワゾワゾワ!と一気に鳥肌が身体を覆う。
まずい!
あぁ!なんでここ誰も通らないの⁉︎
「に、二宮さん?…しっかりしてください!河野さんに誓ってるんでしょっ?遊ばないって!」
「これは…酔った…勢いで、男と…だし?」
「待って!待ってください!ダメです!」
動かせる手で、二宮課長さんの胸を押す。
近付いて来るのを阻止することは出来たけど、それ以上遠ざけることは出来なかった。
「佐藤くん、付き合ってる人いないんでしょ?」
「い、います!いますから!」
「でも、年上の彼女がいるって言うのは嘘だよね?…河野と口裏を合わせて、彼女がいる風にしていたのは、同性が…小栗が好きなことへのカモフラージュなんでしょ?」
二宮課長さんが俺の目を覗き込む。
心が読まれる。
そう思ってしまうほどの眼力。
「男とするキス、興味ない?」
「ちょっ!待っっっ!」
見つめられたまま、ゆっくりとその距離を詰められた。
顔をそらしたいのに、顎を捉えている手が、そうさせてはくれない。
以前、雅治さんに教えてもらった護身術を慌てて思い出す。
けど、こんな状況に当てはまるような術が…思い浮かばないっ!!
もう距離が近過ぎて、頭突きもできない!
あと数センチで、唇が合わさる。
嫌だ!!
雅治さん以外とキスするなんて、絶対嫌だ!!
雅治さん!雅治さん!!
あぁ、もう!いっその事、人を呼ぶために、叫んじゃえ!!
そう思った時…
二宮課長さんが、動きを止めた。
「??」
止まってくれた事に安堵しながらも、こめかみを嫌な汗がジワリと伝う。
「ちがう」
二宮課長さんが、ポツリと言った。
「??」
ちがう?
違うって、言った?
「無理矢理したいんじゃ…ない」
少し顔を離して、二宮課長さんが再び俺の目を覗き込んだ。
「佐藤くんがキスしたいのは、誰?…今、誰かのこと考えてたろ?」
「っっ」
まるで、俺がさっき考えていたことが読まれたかのような言葉に驚く。
「俺は…俺がキスしたいのは…やっぱり、あいつだけみたい。…それに、無理矢理は違うよな。ごめん…」
二宮課長さんが、ゆっくりと身体を遠ざけた。
「にの…みや…さ、ん」
捉えていた手が離される。
「変なことして、ごめ…」
「ん」と言う言葉が聞こえるか聞こえないかくらいで、俺の目の前から、二宮課長さんがヒュッと消えた。
!?
同時に「ドンッ!」と言う音と共に、俺の隣に衝撃を感じた。
「イッ!…ッ」
二宮課長さんが短く唸る。
状況を理解できず、目を横に向けると…
壁に押し付けられた二宮課長さんがいた。
そして…
「ま……おぐり、さん」
二宮課長さんを睨みつける、雅治さんがいた。
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