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手のひらから始まる …4
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「っ…はぁ、…はぁ……ははっ!」
「はっ、ははっ!…もー!雅治さん!…はぁ、手っ…手、つないで走るとかっ!…は、恥ずかしすぎっ!…はははっ!」
二人で手をつないで走って…車にたどり着いてから二人で笑った。
照れ笑いを誤魔化してるような…そんな感じ。
多分お互い、とりあえず笑っちゃえ!みたいな?
だって、雅治さんのこんな笑い方、初めて見たもん。
雅治さんが、ピッと車を解錠する。
「ハァ…ッ、陸、うしろ、後ろ乗って?」
「ははっ!…えっ…後ろの席?」
「そう」
雅治さんに言われた通りに後部座席に乗り込むと、雅治さんも反対のドアから入ってきた。
バタン
と、ドアが閉まると同時に…
真剣な目で視線を絡めて、引き寄せられるようにして、口付けをした。
「…っ!…ん、ハァ…ん」
「は…」
お互い、息が整ってないせいか、荒々しいキスになった。
けど、それが何かやけに俺たちらしいと言うか…
すごく幸せな気分になった。
そのうち、雅治さんに押し倒されて、雅治さんのペースでキスをされる。
俺より先に息を整えた雅治さんは、俺を翻弄するように…いや、俺を一気に追い詰めるように舌を動かす。
「は、ふっ………んんっ!…ん!ま、待って!」
身体が一気に熱くなる。
だけど…
「あ、んむ……ふ、ふふっ!…ま…んぅ、雅治、さん!…ふふっ!」
なんだか必死な雅治さんに、思わず笑いが漏れてしまった。
俺が笑い出したもんだから、雅治さんがゆっくりと身体を離す。
「ふふっ!ま、雅治さんっ!…ハァ…そんな慌てなくても、俺、逃げないよ!ははっ!」
いつの間にか、両手はシートに押し付けるようにして握られてた。
街灯の灯りがほのかに入る車内では、雅治さんの表情は僅かにしか分からない。
けれど、雰囲気でバツが悪そうな顔をしたのが分かった。
コテンと俺の耳の横に顔を埋めて、ギュウッと手を握られる。
「あー…俺、ダセ…」
雅治さんが息を吐くように小さくそう言った。
「え?」
「ごめん。俺、よゆー無さすぎ…」
「ふふっ!本当だよー」
そう言って、雅治さんを起こすように、身体に力を入れた。
けど、雅治さんはビクとも動かない。
「雅治さん?」
名前を呼ぶと、ようやく身体を起こしてくれた。
腕を引かれたその勢いのまま、雅治さんの胸に抱きとめられる。
身体を密着させると、雅治さんのドッドッと言う速い鼓動が伝わってきた。
「俺、今日一日、ずっと緊張してて…」
「緊張?」
「陸に…さっきのこと伝えたくて…」
「あ……うん」
さっきのこと…
さっきの…プロポーズを思い出して、胸がキュッと痛くなった。
雅治さんと、夫婦…
夫婦って言っても、本当に結婚できるわけじゃないから、恋人と言う立場が変わるわけじゃない。
でも、俺たちの関係が、新しくスタートする気がして…
急に緊張してきた。
手を雅治さんの背中に回して、その存在と温もりを確かめた。
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