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【番外編】岡本賢治の葛藤 …7
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マスターにお礼を言って、さとちんとバーを出た。
店を出てすぐ、ある一人の男が目に入る。
やっぱ、目立つなぁ…
さとちんはその人を見つけると、小走りで駆け寄った。
そんなさとちんを見て微笑むその男。
あぁ。
なんて幸せそうなんだろうと思った。
さとちんがその男に何か声をかけると、そいつと目が会う。
さとちんに向けたのとは違う笑顔で会釈された。
「こんばんは。小栗さん、お久しぶりです」
俺も会釈を返す。
「こんばんは」
「ね?オカのこと、送ってもらっていい?」
さとちんのその言葉に、小栗さんは「もちろんいいよ」と即答した。
「いや、いいよ。その辺でタクシー捕まえるし」
「いいって。遠慮すんなよ」
「うん、オカくん。遠慮せず乗って行って」
二人の邪魔をしたくないから遠慮したのに…
そんな同じ笑顔で、グイグイ来られたら、断り辛いじゃないか…
「じ、じゃあ、お言葉に甘えて…」
「ん。じゃ、車、こっちだよ」
小栗さんが、先導する。
「オカは…オカんちに送ればいいのかな?」
「え?」
さとちんが不思議な質問をした。
なんでこんな当たり前のことを聞くのか。
「あ、いや。もう彼女と暮らしてたりとかしないのかなー?って思って」
さとちんがえへへと笑う。
あ、なるほど。
「あー。新居は今探し中。お互い夏休みを合わせて、そこで引っ越ししようって話してるよ」
「なるほど」
「…なんつーか、さとちんも引っ越すのか?」
ふと、気になったので聞いてみた。
「あー。うん。俺たちも今、探してるとこ」
「へー、そっか」
「うん」
そこから…お互い沈黙。
俺、なんでこんな態度とっちゃうんだろう。
さっきマスターには、認めてるみたいなこと言ってたけど、実際、俺の態度は、さとちんからしてみたら認められてないと感じるものだ。
…やっぱり、認めるってハッキリ言えねぇよ。
だって、どうしたって同性同士って辛いことだらけのはずだ。
一緒に住むにしても、そう…
同性の同居人だと、認めてくれないところもあるんじゃないか?
なんて考えてると、小栗さんの車に到着したようだ。
「すみません。よろしくお願いします」
そう言って、後部座席に乗り込む。
…そういや昔、二人が並んでるとこ見たくなくて、助手席座ったな、なんてことを思い出した。
今思えば、馬鹿なことをした。
俺、マジだせぇ。
「オカくん家、○○だったよね?」
「あ、はい!お願いしまス!」
車が静かに発進する。
小栗さんて、運転上手いよなー。
二人はドライブ行ったりするんだろうか…。
何となく、前の二人を観察するように、視線を前にやった。
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