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【番外編】秋吉菜々子の観察眼 …7
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「オグさ、中学の時、一人でポツンといて目立たない奴だったの。2年で同じクラスになるまで、その存在知らなかったし。で、ある時こいつが、俺の通ってた道場に来た訳よ」
「道場?」
「そー、中国武術の。まぁ…分かりやすく言うと、ブルースリーとかジャッキーチェンとか、ああいうやつの一派なんどけどね」
「へぇ!カッコ良いですね!」
ブルースリーは、誰かのモノマネくらいしか見たことないけど、ジャッキーチェンなら分かる。
悪者をバッタバッタと倒すやつだ!
二人とも、あんな事が出来るの?
そう言えば…
前にお台場で小栗さんに助けてもらった事を思い出した。
すごい!
見た目が良くてケンカも強いとか!
二人とも仕事もちゃんとしてるし…ますますカッコ良く見えてきた。
「そこに通い始めた頃のオグはさー、背も150くらいで色白でヒョロッとしてて、なんかダサい感じでさー」
えっ?
「ヤマ、そーゆーのは言わなくていいだろ」
「いいじゃん?身長伸びたんだし!…でさ、俺こんなんだから、とりあえず友達になるかなー?って声かけたらさ、意外と面白いヤツで…。あの頃のお前、ホント素直で可愛かったよなー」
「覚えてねーよ」
ほほう。小栗さん、昔は素直で可愛かったのか。
しかも、ヒョロッとしてたとか…信じられない。
佐藤さんも興味津々な顔で山田さんを見上げる。
「まぁ、そんな可愛いオグを悪い道に引っ張り込んだのは俺だな!はは!オグ、付き合い良かったから、あったこっち連れ回して。悪い遊びとか、色々やったなー」
「ヤマ」
「まさか、オグがこんなクールな感じに育つとは思わなかったけど…ま、おかげで色んなお姉ちゃん引っ掛けたり「ヤ、マ!」
小栗さんが、人でも殺せそうな目で山田さんを見た。
山田さんが肩をすくめて佐藤さんを見る。
「ま、昔の話だからね。今は誰かさん一筋だし?それは長年オグのこと見てる俺が保証するよ」
そう言って、小栗さんの背中をバシッと叩いた。
「イッ…!お前、変なこと言うな!」
「え?オグは今、一筋じゃないの?」
「そこじゃなくて!」
「プッ!一筋は否定しないんだ?」
山田さんが、パチリと佐藤さんにウインクする。
二人を見ながら微妙な顔してた佐藤さんが、少し頬を染めてうつむいた。
おぉ…乙女な反応。
でも、なるほど、そうか。
山田さんと小栗さんは、悪友なのか。
この顔を利用して、あれやらこれやらやってきた訳ね〜。
それが、小栗さんは佐藤さんとの出会いで落ち着いたと?
そういう事なの?
ひゃ〜〜!!
佐藤さん、こんな数々の武勇伝を持ってそうなイケメンを落とすなんて!
二人の時はもっと可愛くて女子力高いに違いない!
過去の女達に負けないほどの!!
すごいな。
恋愛に性別って関係ないんだな。
なんてことを、ふと思った。
それから、山田さんが小栗さんをいじって、山田さんが一人でウケると言う、成り立ってるような成り立っていないような会話を繰り返して、とうとうアトラクションに乗る順番になった。
小栗さんが終始機嫌悪そうにしてたのは、多分乗るのが嫌だからなんだろう。
でも乗り口でさりげなく佐藤さんに腕を引かれるとあっさり乗り込んだ。
私と山田さんは、二人の後ろに乗り込む。
「降りた時のオグの顔が…超楽しみ…っ」
山田さんが笑いを堪えながらそう言った。
あぁ…この人…
本当に小栗さんをいじるのが好きなんだな。
普段、店長さんやってるなんて信じられないよ。
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