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【番外編】秋吉菜々子の観察眼 …10
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夕食は、山田さんが事前に予約してくれていた、ショーを見ながら料理が食べられるレストランだった。
イケメンは行動もスマートだな、なんて感心してしまう。
事前に料理は決まってた(コース料理らしい)けど、支払いも事前に済んでいたみたい。
ここのチケットだけじゃなくて、ディナーもプレゼント?
4人分のコース…結構高いんじゃないだろうか…
「山田さん、私もお支払いしたいんですけど」
案内される途中、こそっと耳打ちすると
「あぁ、あとでね」
そう言って、ウインクされた。
んん?
なんだか、誤魔化された感がしなくもない。
席についてすぐ、佐藤さんがこんな事を言った。
「山田さん、ここ結構高いんじゃないですか?もうすでにチケット買ってもらってるし、ここは俺も…」
「いーの、いーの!お祝いも兼ねてんだから!ほら!とりあえず飲み物頼もーぜ!ホイ!あきちゃんも!」
お祝いも兼ねて、と今さら感な発言に引っかかりつつ、飲み物を注文。
「じゃ、ここは俺が出すよ」
小栗さんの発言に、山田さんはこう返した。
「違うよ。ここのは、二人へのお祝いだから」
「「……」」
佐藤さんと小栗さんが黙った。
二人への?
何?小栗さんも誕生日が近いとか?
それとも二人の何かの…記念日?
目線をチラチラと泳がせていると
「あきちゃんになら言ってもいーだろ?」
と、山田さんが言った。
佐藤さんと小栗さんが顔を見合わせて…佐藤さんが頬を染めて私を見た。
えっ⁈何⁈その反応!
それから、佐藤さんは山田さんに向けて小さく頷いた。
「二人、婚約したんだよ」
こんやく?
こん…
婚約?
「気付かなかった?二人、お揃いの腕時計してんの。あれ、婚約指輪…いや、指輪じゃねーから、腕輪?」
山田さんが真剣な顔でそんな事を言った。
婚約指輪…
えっ?
婚、約?
「ひゃああ!…えっ?ウソ!すごい!マジですかっ⁈なにそれ!やぁーー!おめでとうございますっ!!」
テンパり過ぎて、変な言葉出た。
「ありがと」
佐藤さんが、さらに頬を染めて…すごく可愛らしく微笑んだ。
婚約って、結婚の約束って事だよね?
一生一緒って事だよね?
やだ!やだ!
何それ!
プロポーズとかしたってこと?
二人で一生を誓ったの?
素敵!素敵すぎる!
憧れのラブラブシチュエーション!!
感動とビックリとで、二人を見てたら目に涙が溜まってきた。
小栗さんが、そんな私を見て微笑んだ。
「あきちゃん、良い反応だなぁ…」
山田さんがポツリと呟いた。
「あっ。へ、変にはしゃいでスミマセンッ。ビックリと…なんか、感動と…へへへ」
ハンカチで目尻を抑えたら、山田さんが優しく笑って「良い子」と、私の頭をポンと撫でた。
な、な、何?何っ?
再びテンパりそうになった時、スタッフさんが飲み物を運んできて、なんとか冷静を保てた。
「じゃ、二人に…カンパーイ!」
「おめでとうございまーす!」
「あ、ありがと」
「どうも」
あぁ!なにこの素敵な雰囲気!
突然、目の前のカップルが今まで以上にキラキラして見えてきた。
そんな空気に酔いそうになった時、ショーが始まった。
コース料理だし、会場は華やかだし…
なんだかまるで披露宴に来ているような気分になってきて、本当に幸せで楽しい夕食の時間を過ごした。
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