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【後日談】一夜の夢、一生の誓い …4
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「私も、男と付き合ってるから」
「…え?」
お姉さんは、至極真面目な顔して俺を見た。
いや…お姉さんが男と付き合うのは普通でしょ?
あ…っ!!てゆーか!
私も、って言った!って事は、俺とオカの会話から、俺が男と付き合ってるって気付かれたって事⁈
うわああ!
恥ずかしすぎる!
「いえっ、あのっ」
テンパって、言葉を繋げないでいると、お姉さんが「あ」と、何かを思い出したように声を出した後「ごめんごめん」と謝った。
「大事なこと、先に言うの忘れてた。てゆーか、私から話しかけたんだから、君の話云々の前に、ちゃんと言うのが礼儀よね」
お姉さんはそう言って、俺に少し顔を寄せて小声でこう言った。
「俺、オトコだよ」
…ん?
そのお姉さんは、俺の目を見ると、さっきとは明らかに違う顔で、ニヤリと微笑んだ。
「えっ?あ…えっ?」
今、何て言った?
この人、自分は男だって言った⁈
確かに、声はちょっとハスキーだと思ったけど…
まさか!
いや、そう言う目で見れば、そう…なのか?
今の声も、男っぽかったし。
でも、見た目は全然女性なんですけど?
ああ!分からない!
突然の告白についていけないでいると、そのおね…えさんは「はははっ」と笑った。
「嬉しいな?そうやって焦られると。私、本当に変身するの天才だわ」
変身?
なんだか本当についていけないぞ。
整形?とか?そういうこと?
「あー、その顔はまだ信じてないな。それなら。……これ、どうぞ?」
お姉さんは、バッグをゴソゴソやって、俺の前に何かを差し出した。
それは、運転免許証。
「牧村要一(まきむら よういち)。これが、アタシ。普段は男なのよ?あ、でもこの格好のときは"マキちゃん"でヨロシクねっ」
「あ…」
確かに、その免許証に書いてあるのは男の名前。
写真もどう見ても男。
よく見れば、写真の男の雰囲気は目の前のお姉さんとよく似てる。
他人の免許証なんて持ち歩くわけないし、どう見ても本物だから、これは本人のもの…
だとすると、この免許の写真の男の人が変身して、目の前の"マキちゃん"になってるってこと⁈
えっ?えっ?
「男同士、当事者にしか分からない悩み、あるでしょ?話すだけでもスッキリすると思うの。どう?」
「っ、…あ」
テンパってる俺に、衝撃的な一言。
"当事者"
その言葉にグッと来た。
初めて出会った。
同じ男で、男と付き合ってる人。
途端に親近感が湧く。
それに、こんな出会い、そうそう無い。
マスターとも知り合いみたいだし免許証も見せてくれたし、悪い人じゃないと判断した俺は、酔いの勢いも手伝って気付けばコクリと頷きを返していた。
トイレから戻ったオカは「もう飲めない…」と、テーブルに突っ伏してしまったので、そこで飲み会はお開きになった。
皆でオカをかかえてタクシーに突っ込んだ後、皆で駅に向かう途中「ちょっと、用事思い出した」と、俺は買い物でもするフリをして皆から離れた。
そして…
また、マスターのバーに戻った。
あの人に、話を聞いてもらうために。
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