アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
【後日談】一夜の夢、一生の誓い …9
-
数日後の業務後、俺はマキさんに指定された美容院に向かっていた。
酔った上での約束だし…と、断ろうかと何度も悩んだ。
冷静な頭で考えると、女装とか、やっぱりあり得ない。
もし、知り合いに会ってバレたりしたらどうするんだ。
それに、あの日はポジティブなこと考えたけど…
雅治さんが、女装の俺を受け入れてくれる確率は低いんじゃないだろうか?
前に、女物の…を身につけた時は、家の中で雅治さんにだけ見せた訳で。
今回のように"人前に出る"のとは、全く別だ。
俺の変身が…女装だとバレバレだったとしたら…
雅治さんは、そう言う意味で目立つのは絶対に嫌がるハズ。
断りたい。
だけど、マキさんの方は真剣な様子で連絡をくれるし、どうしても断れるような状況にならなかったまま…
俺は店の前まで来た。
オシャレな外観のその美容院は、そろそろ閉店の時間らしく、お客さんはほとんどいなかった。
そろりとドアを開けると、レジに立っていた女性に「いらっしゃいませ」と、ニッコリ微笑まれた。
「あの、佐藤です、けど…」
名前を言えばいいから、とマキさんに言われていたので恐る恐る伝えると、その店員さんは「佐藤様、お待ちしておりました」とニコリと言った。
「あ、ハイ」
「そちらにお掛けになってしばらくお待ちください」
マキさん、俺のこと何て言ってるんだろう…気になる。
とりあえず、指定されたソファに座っていると、間も無くしてモデルみたいにオシャレな男性店員さんがやって来た。
「佐藤くん、お待たせ!」
一瞬、誰?と思ったけど、そのキレイな顔付きは、すぐにマキさんを思い起こさせた。
「えっ?あ!もしかして、マキさ…」
「しっ!ここでは、牧村で」
俺が「マキさん」と呼ぼうとしたら、慌てて訂正された。
そうだ。
ここでは牧村さんと呼ぶ約束だった。
「ご、ごめんなさい」
「ん、いいよ。じゃあ、行こうか?」
そう言ってどこかへ向かうマキさんの後を、俺は緊張しながら追いかけた。
店の奥の、一つのドアの前で立ち止まると、マキさんは「ここだよ」と言ってドアを開けて中に入れてくれた。
そこは6畳くらいの部屋で、絨毯が敷いてあって、片側の壁には大きな全身用の鏡があった。
化粧台かな?が同じ側に設置されていて、部屋の奥はカーテンで仕切られている。
反対側の壁には、洋服を掛けるラックがあって、いくつか女物の服がかけられていた。
入り口で靴を脱ぐように言われて、化粧台の前の椅子に座るように促される。
「ここは、着付け用の部屋だよ。使用中は誰かが勝手に入って来ることないから大丈夫。ドアのところにカーテンも引けるし。…とりあえず、何か飲む?」
緊張している俺に気付いたのか、マキさんが笑いながら聞いた。
「あっ、いえっ、大丈夫です」
「そ?じゃあ、早速始めようか?」
「あ、あの、すみません。遅い時間から…お店の方とか大丈夫だったですか?」
とりあえず、閉店後にわざわざこんな時間を取らせてしまった事を謝った。
「気にしなくていいよ。閉店後にモデルとして一般の人に来てもらうことは珍しくないし。美容師は日々勉強、日々練習だと思ってるから。これも、その一貫」
マキさんが鏡越しに俺に微笑んだ。
「すみません。ありがとうございます」
おぉ…
男のマキさんは、不思議な雰囲気があってカッコいいな…
「という訳で、俺の練習台も兼ねてるから、料金は気にしなくていいからね。変身にかかる洋服代とかを、いくらか出してもらう事になるけど…」
「えっ?いえいえ!その…他にも色々、お金掛かりますよね?ちゃんと払います!」
「いいの、いいの。さて、今日はやること多いからチャッチャと始めるよー。まずは、カラー診断から…」
「えっ?あ…でも…」
マキさんは、俺の言葉を無視して、なにやら忙しそうに始めた。
俺は、されるがまま…
あぁっ!
ってゆーか、断るタイミング、すっかり逃した!
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
514 / 559