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はじまりの日4
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ルシアンは、レディーキラー・カクテルと呼ばれることの多いカクテルだ。
甘い口当たりとその飲みやすさに、気付かぬうちに飲み進めてしまう。
そして気付いた時にはあっという間に酔いが回ってしまう、という所謂女を酔わせる目的にもよく使われるカクテルだ。
なに食わぬ顔で洸はそれを頼むと、田辺へと渡す。
自分が頼んでいたジンフィズの入ったグラスを軽く傾けて、乾杯、とルシアンのグラスとぶつける。
飲みやすい、と微笑む田辺の顔を見ながらそれは良かった、と洸が笑う。
仕事の話を主にしながら、彼へと時々酒を勧めているうちに、彼は随分とルシアンを煽っているようだった。
ルシアンを3杯はお代わりしたころ、田辺の顔はアルコールが回ったのか真っ赤になり始めた。
随分と酔いが回っていることに本人も気付いたのか、ちょっとトイレ、と立ち上がろうとする。
しかし、アルコールに弱い彼の体がぐらりと傾いだ。
「あっぶね!…大丈夫?気分悪い?」
危機一髪、とばかりに手際よく彼の体を支えると、熱っぽい息を吐き出しながらごめん、と弱々しく田辺が漏らす。
洸は心配そうな表情を浮かべながら、優しく彼に声を掛ける。
どうやら支えがないと立つこともままならないらしい。
「俺の部屋で寝て帰れよ。今タクシー呼ぶから」
ふらふらな状態の田辺は申し訳なさそうにしながらも、洸の提案に縋るようにありがとう、と小さく呟いた。
気にするな、と笑って彼の薄茶の髪を撫でてやりながらマスターへと目配せをしてタクシーを一台呼んだ。
そこからはもう、洸の計算通りだった。
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