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◆今日の最下位は牡羊座です。9
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それから男はバイブを引き抜き、回復した自分のものを再び洸の中へと押し込んだ。
洸が掠れた喘ぎ声だけを発するようになってから更に数時間後、ようやく男は洸を解放した。
しっかりと後処理をし、スーツもきちんと着せてやったが、洸は終始ぐったりとしていた。
そして、重い体を引きずるようにしながら、逃げるように洸は男の部屋を出て行った。
男は、自分のスマートフォンに納めた洸の写真へと視線を落とし、もう誰もいなくなった部屋で一人微笑む。
何度も画面の中の彼の髪を指先でなぞって、再び笑った。
*
無理矢理こじ開けられ、貫かれた体がズキズキと痛む。
関節が痛い。頭が重い。
男の部屋を出ると、眩い日差しが洸の瞳に飛び込んできて、もう朝なのだという事実をようやく知った。
ふらつく体をなんとか支え、タクシーを拾って自宅へと向かう。
昨夜のことは、もう忘れてしまいたかった。
忘れることなどできなくても、それでも忘れたかった。
タクシーを降りた洸は、部屋の前で立ち止まる。
自分が昨日何をしていたのかを、部屋の中にいる同居人は知っている。
洸は、和人と暮らし始める前までは複数セフレがいたが、彼との同居をきっかけに、そういった繋がりを全て切っていた。
当然、和人はそんなことは知らない。
だからきっと、昨夜のこともセフレとの遊びの一環と捉えただろう。
そしてそんな自分のことを心底呆れたに違いない。
(…何、弱気になってんだよ、俺)
意を決し、寝ているであろう彼を起こさぬよう静かに部屋の扉を開けようとして、気付いた。
鍵が開いている。
まさか、と洸が居間へと踏み込むと、電気も付けっ放しで、和人がソファに腰掛けたまま目を瞑っていた。
「……待ってた、ってこと?」
部屋の時計は7時を指している。
ソファの上でかくりと首を曲げて寝息を立てている彼の手には、スマートフォンが握られたままだった。
ゆっくりと、洸は和人へと近付く。
そっとその髪に触れようと手を伸ばすと、和人が目を覚ました。
洸の指先がびくりと震える。
和人はまだ少し眠たげなままだったが、何も聞かず、ただ一言口にした。
「おかえり、洸」
胸の奥からこみ上げてくるものを必死に噛み締める。
うまく笑えるだろうか。唇は、声は、震えはしないだろうか。
情けない姿など、見せたくはない。
この優しくて綺麗な男に、余計な心配も迷惑も同情も、何もかもして欲しくはなかった。
そのためには、どんな嘘だって吐かねばならない。
その結果、例え彼に軽蔑されようとも。
洸は、震えそうになる唇をぎゅっと引き結んで、笑顔を作ってみせた。
「ただいま」
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