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本音4
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洸は、真っ直ぐに和人を見ていた。
「大丈夫か?」
今、洸の顔をまともに見れる気がしない。
和人はすぐにその視線を逸らして、トイレから出ようとする。
しかしそれは洸の腕によって制された。
腕を強く掴まれたかと思うと、そのまま個室に押し込まれた。
狭い個室に、洸の香水の匂いが漂う。
クラクラして、ひどく酔いが回りそうだ。
洸が、和人の背中を壁に押し付けるようにしながら、その瞳を覗き込む。
「さっきから何で目逸らすわけ?」
「別に」
「……拗ねてんの?」
どこか悪戯っぽいような瞳を向けながら、洸の唇が弧を描く。
ますます、酔いがまわる。
洸の匂いが、視線が、和人から思考を奪う。
和人は、洸のネクタイを掴んで顔を引き寄せ、そのまま噛みつくようにその唇に口付けた。
洸の瞳が驚いたように丸くなる。
可愛い、と和人は思った。
男に対して抱くべき感情ではないかもしれない。
けれど、不意を打たれて目を丸くする姿は普段の余裕たっぷりの洸からは想像できず、とても可愛く思えた。
唇を離すと、洸がニヤリと笑う。
「下手くそ」
そう言って、今度は洸から和人に口付けた。
開いた唇の隙間から舌を差し込み、そのまま口内を犯す。
歯列を丁寧に舌先で撫でてから、逃げようとする和人の舌を捕まえてくちゅ、とわざと水音を立てて絡めてやると和人の体がびくんと震える。
「…っん、ふ…」
洸の舌が和人を翻弄していく。
苦い、アルコールの味がした。
長く深い口付けに、立っているのもやっとで、思わずネクタイから手を離し縋り付くように洸の腕を掴めば、ようやく唇が離れた。
「……やばい。これ以上は止まんなくなるわ」
互いの唾液で濡れた唇を親指で拭いながら、洸が困ったように笑みを浮かべる。
和人にとってもそれはその通りだった。
もっと肌に触れたい。口付けを交わしたい。
その欲求が、どんどんと膨れ上がる。
もっと、欲しい。
咲恵の大きな目も、甘い匂いも、何もかも、もう思い出せない。
目の前にいるこの男のことしか、もう考えられなかった。
認めざるを得ない。
この男に夢中なのだと。
他の誰にも、渡したくはないと思うほど。
それが例え、女性であったとしても。
和人はゆっくりと洸の首へと腕を回して、わざと甘えるような、強請るような声色で、言った。
「俺も鈴村とシたくなった。責任取って。」
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