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~番外編~ 居場所 ー梶ー
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ご主人様に会えて嬉しいのと安心したのと寂しかったのと辛かったのと…いろんな感情が僕の中でぐちゃぐちゃに混ざりあって涙として溢れ出てくる。
ご主人様に言いたいことがたくさんあるのに声がでないもどかしさと、ご主人様が必死に僕に何か言ってるのに聞こえない悔しさ。
それも、泣くことでしか表現できない。
ご主人様…。
西山さんというお医者さんをご主人様が呼んでくれた。
西山さんは僕の耳が聞こえていないことにすぐに気がついてくれたようで、そこからは筆談になった。
【君の体を診せてほしい。
痛いことはなにもしないから安心して。】
西山さんからのメモを見て1つ頷いた。
すると西山さんはご主人様が着替えさせてくれたご主人様のシャツを脱がせていく。
露になった僕の肌………それを見てご主人様と西山さんは驚いている。
それもそのはず、僕の肌は傷やその跡、そして痣だらけなのだから。
荒縄で縛られた跡。
殴られ続けた痣。
刃物でつけられた切り傷。
ローソクプレイでの火傷。
僕がこの半月でつけられたもの。
ご主人様は僕に多少の一時的な痣はつけたかもしれないが、傷は残さなかった。
恥ずかしい…僕は…汚い。
診察は触診などもあり、もちろん耳も簡単に診てもらった。
一通り終わると西山さんはご主人様と何か険しい顔をして話している。
そして僕に新しいメモを見せた。
【声は出せる??】
僕は首を小さく横にふった。
【いつから出ない??】
【耳が聞こえなくなってすぐです。
1週間くらい前です。】
【今度俺の病院に来て検査を受けてもらいたい。
啓造には許可をもらってるから大丈夫だよ。
それまでは体も心もゆっくり休んで。】
【ありがとうございます。】
僕は頭を下げた。
するとニコッと笑ってご主人様と一言二言話すと帰ってしまった。
後日、検査を受けてみると耳はやはり鼓膜が破れていて声はストレスで出なくなったらしい。
耳はすぐに治ると聞いて安心した。
傷や痣にも塗り薬等をもらって帰ってきた。
ご主人様はもともと口数が少ない方だったけど、メモでの会話は前より少しだけ増えた。
僕は前のようにごはんと掃除、洗濯などを少しずつやるようになった。
しかし、前と決定的に違うことが1つだけある。
それは僕が寝る場所。
【ここで寝ろ。】
それは僕が寝かせてもらっていたご主人様のベッドから降りて床に寝たときだった。
ご主人様は僕を再び自分のベッドに寝かせようとした。
僕は必死に抵抗した。
【もう大丈夫です。
ベッドはご主人様が寝る場所です。】
【いいからここで寝ろ、命令だ。】
命令………。
この言葉はとてもズルい。
僕がご主人様に命令されて逆らえないことをご主人様はよく知っている。
ご主人様は僕の手を引いてベッドに座らせると、僕の隣に座って抱き締めて頭を撫でてくれた。
落ち着く………。
でも、不安………。
早くご主人様の声が聞きたい。
僕はそう思いながらご主人様と一緒にベッドに潜り込む。
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