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楽なのに気苦しい物。14
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信頼していた上司に持ち手の先を踏まれたエネマグラは、その反対側で翔の前立腺を圧し上げている。
薬と長時間の圧迫によって快感を覚え始めたソコに、酷く硬い異物を押しつけ、振動で叩きつけて揺さぶっている。
感度が更に高まる中で、翔は…急速に冷静を取り戻していた。
「ひ、ぁぁぁああッ…!!あ、ああっ…、っぐ!!」
勝手に流れる涙を抑えることは出来ないし、それを拭うには腕も全身も震え過ぎている。
腕が突然の振動で口から離れた結果、あられもない悲鳴と嬌声の混ざった声が狭い部屋に響く。
それを必死に押さえようと口に腕を当てると、腕からの振動によって抑えられ気味の声まで震える。
腕が唾液で汚れても、どうにもしようが無かった。
腰も腹も、兎に角上に動かしたくて、振動を送る棒から逃げ出したくて力を加えようとするが、一ノ瀬が全体重を掛けた左手で押さえてくるからどうしようもない。
「あ、うぐ、っ…ぁ、ぁぁ、ぁ…ぁぁ」
焦点は涙とブレで定まらないし、耳から聞こえてくる音も、最早そんなことを気に出来るほどの状況ではない。
こんな状況なのに頭の中がクリアになっていくのは、翔が、決して普通の人間などではなくて、スパイだからだろう。
一ノ瀬は翔のソレを容赦なく握り締めて精液の放出を食い止めている。
それはどうしようもない痛みが襲うことで、だからこそ、普通の人間ならエネマグラによる快楽との混乱で、泣き喘ぐだけの人形になる。
しかし翔は違った。
翔が痛みに強いわけでも耐性があるわけでもないし、痛みに慣れているわけでもない。
痛いものは痛い。
それでも痛みによって気をやって、情報を話すことを防ぐ訓練は受けている。
痛みの中で、自我を、意識を、ハッキリさせる能力に優れている翔は、このどうしようもない状況で少し物を考える思考能力を回復させていた。
「あ、ぁあ、あ、ん、う…ッん、ひ、あ、ぁぁぁ」
(な…んだよこの状況は…!!)
痛みと快楽の内、痛みの方をより意識して感じるために、翔は腰を上に懸命に上げ続ける。
エネマグラを強固に感じさせるために、更に力を込められた一ノ瀬の左手によって、痛いほど腹が圧迫させられる。
腸や膀胱が悲鳴を上げる痛み。
その痛みでまた翔の思考はクリアになっていく。
(な…なんなんだ…な、なっ!!)
するとクリアになった思考には、あまりにも強い羞恥が襲った。
男が裸になろうが特に羞恥は感じないが、鎖で繋がれた上に、媚薬まで混ぜられた身体を見られるというのは、また別の意味で恥ずかしい。
尻の穴に棒が刺さってるのを見られるのが恥ずかしい。
その棒を踏まれて快感を感じる自分の醜態には目を瞑りたいし、他人に見せるものでもないというのに、その棒を踏んでいるのが上司なのだから泡を吹いて死にそうだ。
それだけじゃない。
痛みによって考える能力を取り戻したが、その痛みは自分の竿を握り締められていることから来ていて、しかもそれをしているのも上司。
そして翔自身は、そんな上司に向かって手を離して欲しいだの、精液を出させて欲しいだの、これ以上の快感は苦しいから棒を弄ぶのはやめて欲しいだの…。
そんな甘い感情を、涙を流してあられもない声を上げながら抱く自分は…側から見ると立派にこの状況を愉しんでいるとしか…。
(うわああぁぁぁぁああああああッッ!!!!!)
この惨状、どこのSMクラブだろうか。
しかもお相手は女王様でもなく、責めたてているのは上司だ。
ライトSMでも何でもない羞恥に、ライトSMにすら行ったことのない淡白な翔は打ち震えた。
なんて、おぞましいのだと。
「あ、ああっ、あ…ぁあっ、あ、…んんっ…っふ、あぁっ」
(やめっ、ほんと、本当やめろバカァッッ!!!)
この状況をノリノリで楽しめる、そんな特殊な性癖の潜在能力があるなら既に開花しているだろう。
現に今、一ノ瀬は開花の兆しがある。
しかし翔は違う。
感覚が、一般常識から外れることがない。
というよりも、一般常識よりも淡白で味気ないものを常識と捉えている翔にとってこれは、想像を超える極度の醜態だった。
翔は今以上の羞恥なんて知らない。
そしてその羞恥に喜べる筈もなかった。
見た目も声もハートマークがつきそうな程に楽しんでいるからといって、中身まで楽しんでいるとは限らない。
「〜!!っあ…ふっ…ぅぅ、うあっ、、あんっ!!」
嫌悪感、それが翔を支配する。
だって、今やられているどれもこれもが嫌なのだ。
セックスなんて、恋愛的なもの、それも男女のものしか知らないし。
キスや挿入の他にはフェラだのイラマだのは知っていても、尻の穴を攻めるなんて聞いたこともない、たまたま検索に引っかかっても汚いからと知る気はなかった。
玩具だって、ローターとバイブ以外なんて存在自体知らない。
レズ的なものを興味本意でチラ見しても、バイだのゲイだのには興味すらなくて。
その価値観では、いくら感じていても、これが愛のある行為だとは思えないし、好意的な感情が浮かぶわけもなかった。
そして、こんなことに感じている自分自身が嫌いで仕方なかった。
「あ、ぅうん、ふぁっ、〜〜っ!!!」
(やめ、やめろ、ほん、と、やめ、…やめ)
媚薬を混ぜられたからいいか、ではない。
自身の許容範囲を単純に超えているのだ。
自分の潔癖さと常識をあまりに超え過ぎて、そもそも受け付けられない。
そしてこの行為は、純粋なスパイにはとんでもなくキツいお仕置きになった。
そして、この行為をさせている赤城に、どうしようもない怒りが湧き起こる。
(絶対、許さねえから…!!!)
翔は赤城を強く強く睨んだ。
密命を見破られた時とは違う、心からの殺意に似た何かが翔の中を渦巻く。
こんな目に遭わせやがって、こいつに心の底からポッキリと折れてなんてやるものか。
それはスパイだからプライドを圧し折られるわけにはいかないとか、そういう義務感とかではなくて。
一人の男としての矜持だった。
「ふっ」
それを見た赤城が鼻で嗤う。
…彼はおそらく、全て、分かっていた。
痛みを加えればスパイである翔は正気に戻ると。
その上で快楽を与えれば、正気の翔に羞恥が及ぶ。
その状況があまりの常識と乖離しているのを恐れて、赤城に泣いて頼むならそれまでのスパイだが。
歯向かう選択をするなら…まだまだ遊べる、意思の強い玩具が出来上がる、と。
ある意味、翔は赤城の思うツボにはまり込んでいる。
しかし、そんなことには翔は気付かなかった。
赤城は機嫌良く翔の睨んだ顔を見ると、一ノ瀬に言った。
「満足した、手を外してやれ。」
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