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楽なのに気苦しい物。15
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「あ…っ、ひっ!あ、ぁあぁ、う、ッッ…う、ぁ、ふっ…ぁあ」
手錠のように輪を描いた両手足首の軽めの痣も、声を抑えようという努力から生まれた二の腕の歯型も、努力など無意味だと知らしめる嬌声も、親しい上司からの優しい声と視線も、全てを見透かしたような腹立たしい視線も、何もかもを全て、全て気にしながらスパイはひたすら喘いでいた。
「伊勢谷、悪い…だが、!!」
”尻の穴の一点、ただ一点だけを振動させている”ただそれだけのことで、男としての矜持もスパイとしての誇りも伊勢谷翔という人間の軽薄で余裕さを称えた笑みも、全てが失われたことに怒りを感じて。
伊勢谷が巻き込みたくもなかった、その前でだけはただのいい部下でありたかった心優しい上司を敢えて利用して、卑劣なことを命令してこんな目に遭わせているこの状況も到底赦し難くて。
「満足した、外してやれ。」
そんな翔の内情も全て知ったような目で、目の前の自分を嘲笑する俺に、伊勢谷は殺意さえ覚えて…。
(…ああ、)
「…え」
俺という上司の命令には逆らわないが、その分以上の労りと労いを部下に施す一ノ瀬は伊勢谷にとっては理想の上司だろう。
そして、嫌々ながらも上司の命令に逆らわない一ノ瀬は俺にとって好都合の部下だ。
上と下、どちらにも好かれる行いをしているにも関わらず苦しんでいないのは、一ノ瀬が偽善を紡いで欲望のままに動いているからか。
「ぁ…っん、っぅああぁ、はぁっ…ーーーッッ!あぅっ、ん、はっ…ぁ」
(同情くらいはしてやろうか?)
「どうした?」
どう見ても稚拙な行為しか知らない部下に、思考の上限を軽く超えるような最大限の快楽を与えて、それでも我慢させろなんて命令を…俺は出した覚えはない。
その時点で、翔の殺意は明後日の方向に向けられているとしか言いようがない。
その憎悪には憧れとまではいかない上司のことまで上乗せされている。
そうに違いない。
しかし実のところ、今の状態は…
今の状態は優しい上司の独断で創り上げられた、なんてな。
(…いや、無理だな。同情を買うには滑稽すぎる。)
「い、いえ…、、伊勢谷!伊勢谷!!」
「は…ぅ?…ぁ、い、…んあっ、ちの…」
分かり辛いものの急所の痛みで覚醒し切っている部下を、トンでいると思って必死に呼び戻そうとする上司。
呼び戻す意味も理解しかねるけれど、きっとそれは待望の瞬間が訪れると教えるためなのだろう。
…それならそんな不満そうな顔で言うべきではないとは思うが。
何もかもズレが生じる二人には、双方に取り憑かれたような焦りがあって。
一ノ瀬は、まあ要するに、、
突然に右手を緩めた。
「ひっ…ぁああぁあ……!!?!?」
特別小さいわけではないが、媚薬の影響で作りすぎた液体を貯めるには余りに足りなかった袋から白いものを出しながら、根元まで溢れていた体液が噴水のように勢いをつけて飛んだ。
一ノ瀬の顔と眼鏡にも付くが心優しい部長は気にも止めて居なかった。
しかしこういう唐突な場面には不慣れだからか動揺したのだろう、腹と動き続けるエネマグラの逆側を押さえていることに気付いて居ない。
抑えつけられる腰はエネマグラから逃すことは出来ず、結果として、やまない放出を味わいながら前立腺に振動を送り続けられるといった、初心者には手厳しい状態が生み出された。
「あっ…あ、やっ、っふ…ぁあ!あっ、ああ!!」
崩されていく。
今まで自我を保てていたのは痛みがあったから。
ではそれが唐突に無くなったら?
圧倒的な快楽が間違いなく覚醒している翔を襲った。
放出が許され、作り過ぎたものを無意味に放り捨てる。
作り出し過ぎたものは放出に時間が掛かる。
右手は緩められただけで離してはいないため尿道が狭くなって、更に時間が掛かる。
液体を出す時の本能なのか律動しても、一ノ瀬は緩めた右手を動かすことはなくて、それはただ抜くのを手伝う構図になっていて。
一ノ瀬が存在を忘れたエネマグラは最大の振動で震えている。
白い棒の先端はコリコリとした前立腺を文字通り押し潰し、痛いくらい押し潰しながらバイブレーションを続ける。
朝から出してないお陰かそれなりに液体の溜まった膀胱は腰を動かすまいとする一ノ瀬に押され、腹筋に力を込めていなければならない状態だったが、そんな余裕は翔にはもうない。
全身を痙攣させて出すものを出しながら我慢するところは我慢して、理解出来ない場所を震わせる機械にはひたすら耐える…そんな器用なことを出来るスパイではなくて。
「ふわぁ、ぁあ、ああぁあぁ、ぁあっ、あ、あああ!!!」
白い液体と透明な液体とほとんど透明なものを勢いは弱く上司と自分にかけながら、或いはシーツに染み込ませながら、翔は…
それでも意識を保っていた。
本当は記憶したくない快感。
本来ならトンで覚えていられる筈のない快楽。
それをスパイであることを上手く利用されて覚えさせられて、限界をとうに超えているのに、と身体に沁みさせた感覚。
覚えているのに、壊れないままで全てを出して出して出してさらけ出させられて。
「ぁ…」
羞恥とか常識とか、それまで自分を構成してきた何かを破壊しに掛かろうとする、この気持ち良さに、翔は恐怖と狂気と恐ろしいくらいの幸せを一瞬だけ感じ取った。
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