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【二周年記念】解ってるようで解ってない。”前”
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「お前が新調してくれた打掛、気に入ったから着てみた。…どうだ?似合ってるだろ?」
決して一口も手をつけることのない料理や見向きもしない芸者、当然のように踏み締める高級な座敷に一瞥もすることのない贈り物、冷えた目で客に値する金持ちかどうかを見極められる為だけに新調せざるを得なかった俺の着物、、
話題を振っても一言も発さなければ渡した手紙への反応も返さない、そんな苦痛にも程がある時間に懐が痛くなる程の金を使ったのも昔の思い出。
客に値すると認められ、翻したように取って付けた笑みで専用の箸を渡されて、夢の世界とやらに苦笑したのも昔の思い出だ。
今はこの吉原中を席巻する奴の格別のお得意様になっている。
「ああ…そうだな、」
今、こいつが花魁道中で歩きながら道中を見るためだけに金を払った貧乏人に見せびらかせている、打掛に帯、黒塗りの高下駄や簪、一品のそれぞれが途方もない値打ちのするものは全て俺が買ったもので…と言いたい筈だったのだが。
簪だけ替えてくるとはいい度胸だ。
全てをセットにして送りつけた筈だがこいつは簪だけ別の客から貰ったものに挿し替えた。
口でも表情でも態度でも夢の世界の住人を演じているくせに、事前準備で敢えて客に喧嘩を売りつける。
「お前が新たな簪が欲しいということがよく分かった。」
今日は偶々客が二人来た。
一夜にして二人の相手は出来ない、だからどちらかは金を払った上で一言も会話出来ずに帰ることになる。
そして今日はより金払いのいい俺を選び取った結果、もう一人は肩を落として共に歩く予定だった花魁道中を眺めることになるが…そいつの目の前を自分が贈った簪を挿したこいつが通るわけだ。
ああ、もう一人はさぞかし喜んだことだろう。
そして俺を小馬鹿にして次回はより一層の贈り物を届けることになる。
一方でもう片方は選ばれたことに優越感を感じながら簪一つで負けた気分になる。
そして次回は途方もない金遣いをして装飾を施した簪を贈ることになる…と。
まったくこいつは。
「そうだな…。鼈甲の簪とかあったら嬉しいな。」
選んだ方には喧嘩を売り、選ばなかった方には媚びを売る。
そうしてどちらも惹きつけながら試している。
「…はぁ。取り敢えず取ったらどうだ?」
簪一つに嫉妬を見せるようなガキは好みではない、だが気付かないバカは論外で、気付いても積極的に金を使わない奴もまた同じ。
「気にするな、どうせ崩れて落ちる。」
抱き締めて囁けば何でも許されると本気で思い上がっているような笑み。
全てをセットで贈ってさえいなければ気にもならないはずの、複数付けた簪のたった一本に翻弄されかける自分が許せない。
俺は独占したことに優越感を抱く心など持ち合わせてはいない。
独占など前提条件でありたいのに、どうしてそんなことを気にしなければならないのか。
「…だろ?誓也。」
あぁ…遊ぶこっちが遊ばれているようでムシャクシャする。
◇◆◇◆
高価な打掛の新調は毎回心が踊る。
他の花魁との格差を付けられるし、楼主は金を絞った俺を褒めてくれるし、新しい客はつくし、楼主はそれでまた褒めてくれるし、何より着て喜んだ客が更に金を落としてくれて、それに喜んだ楼主が昼飯をちょっと豪華にしてくれる。
…あ?打掛の綺麗さ?そんなものはどうだっていい。
物欲とか特にはねえし、綺麗にするのは義務だし仕事だし上を目指すための手段でしかない。
貰うことが嬉しいのであって、貰うものに関してはどうだっていいけど、指定するのは…何でもいいって言うより客がやる気出すだろ?
まあそういう仕事だからな、割り切ってこなしてやるよ。
辛い仕事の分だけの褒美は目に見えるものなら飯の豪華さとかそんなものだけど、見えない羨望とかはかなり貰ってると思ってる。
見えない給金にも心躍らせなきゃ心がやってられないからそこは考えない。
…ってちょっ待て。
「…んーんん…ぅ!!!ぐ、んーーぷはっ……ケホッケホッ」
誓也のデカすぎるそれを撫でながら、男として負けた気分に浸りたくなくて違うこと考えつつ口に含んでたけどもう限界だ。
口と喉の中で膨張するのが許せねえ。
顎が痛い酸欠になりそ苦し無理もうヤダ。
「…分かっ…ケホッ、はぁ…てる…!!」
口から外して唾液と先走りでベトベトぐちょぐちょになったそれを手で必死に撫でながら息を整える。
…ああ、涙出てきた。
苦しみには強い方だから強制されるなら出来るけど、強制されなきゃ出来ない。
率先して苦しいことしたいと思うようなマゾでもないし。
…よし、いくか。
「はむっん、んーーーん!!んっ!!!」
ったく、喉まで擦られると酸欠と喉で気持ちいいとかふざけた奴は誰だっての、こんなもん完全にただの奉仕だ感謝して味わいやがれ。
口の中に苦いものが流れ込む。
苦さを舌の奥の奥で感じながら喉に流し込まれるように飲んだ。
サラサラしてないから飲みづらいし、苦いし不味いしああもう。
いちご食べるといちご味になるとか言うから、今度お品書きに追加して貰うか、こいつに頼ませよう。
途中噛みちぎるぞ、って睨んじまった気がするけどバレてないことを祈る。
昔からそうだ、余裕無くなると営業スマイルが吹っ飛ぶ癖、いい加減直さねえとな。
…まあ、余裕なんて早々なくなんねえから大丈夫なんだけど、こいつは別だ。
格別に疲れる。
さて、奴が賢者タイムの内に俺も勃たせとかないと…。
疲れたようにしゃがみ込んで、取りやすいように前に来てる帯を掴んで緩めると打掛を着崩した。
「…はぁ…っ、ん、ぅ…」
にしても変わった趣味してるよなこいつ。
俺の完璧な愛想笑い見たら普通見惚れるか何かするのに鼻で嗤ったりしやがる。
積極的に誘っても苛ついてさ。
折角この俺が知性伺える綺麗な字で手紙なんか送ってやっても、やり取りも楽しまねえし。
かといって俺が営業に失敗した訳じゃなくて寧ろ通い詰めてるし。
品物だって独占欲が強いのか凄い贈ってくるし。
なのに着ても特に喜ばねえし。
「んっ…ぁ、っあ…あ…」
今日だってほら、完璧にコーデ決めてやってるってのに、感想もなしで唐突に簪の話なんかしてさ。
まあ、あげたいって言うなら貰ってやるけどな。
…あぁ、もしかして。
大金に任せて趣向凝らして贈ったものが似合うのは当たり前だし、それもこいつには端金に過ぎないから特に感想とか礼とかは一々いらないってことか?
それは楽でいいな。
嫉妬だの言葉だの、女々しい面倒くせえの嫌いだし、、
「……っ……ぁ、、」
あとは…そうだな、趣向凝らしたのを脱がせるのが楽しいのであって、ちゃんと着てるのは別に見向きも起きねえとか…。
はは、…変態。
「…ひっ、イっ!」
俺が失礼な考え事してる間に賢者タイムは終わったみたいで、誓也が乳首を思っ切り引っ張った。
痛さと気持ち良さとやっぱり痛さが巡って身体が跳ねる。
思わず見ると怒ってる顔がそこには居た。
ああ、さっき変態って笑っ…。
「随分と余裕そうだな?翔。」
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