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屈辱
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「…ん」
「気付いたか」
医務室の幅の狭いベッドに首輪と手枷足枷で繋がれ、その状態で穏やかに眠る表情を見て蔑んでいると途切れていた意識が戻ったのか、大きい目をこすりつつ開けた。
「今居る場所、それと名前は」
「な、なんだ急に」
意識が鮮明かどうか、ここが病院ならば医師がする質問を投げかけると惚けた顔で質問の意味が分からないという答えを出され、少々苛立つ。
「いいから答えろ」
「ったく…伊勢谷翔、今居る場所…は、、解んねえよ」
スパイにここの場所を教えることは脱走の危険性が増す事だ。
教えてもこんな奴では大したプラスにならないだろうが…端くれでも警戒する必要はあった。
それを忘れていた自分に思わず苦笑しそうになるが、伊勢谷の減らず口を聞いてどうにか耐えた。
「そうだったな、だがそれだけ噛み付けるなら精神は正常らしい」
「正常?当たり前だろ」
「…そうか、アレだけの醜態を晒した精神が平常だと思うか。感心するよ。」
意味が分からないというよりも侮辱され、言い返したと表現する方が正しいか。
不快感を露骨に表すスパイに良い皮肉の材料が出来たと昨日の事を口にする。
「何を言ってる」
「覚えてないのか?俺がローターを止める時には泣き喚いていたが」
「はっ、証拠でもあんのかよ?」
自分が囚われの身である事を忘却の彼方へ追いやった偉そうな物言いを、鎖の付いた手を動かしつつするものだから笑えて仕方ない。
証拠なんか無いなら…と口の減らない伊勢谷に、俺は昨日の有様を録画したビデオを見せた。
だが。
「…ははっ、なんだこれ!?ンなわけないだろ、幻想を抱くのもいい加減にしろっての」
「……。」
「こんな映像金掛けて作るくらいなら仕事でもしたらどうだ?くだらない。」
全く、信用しようとしない。
完全に疑って掛かっている。
昨夜大した撮れ高の無かった俺が、金にモノを言わせて造らせた合成だと信じて疑わない。
確かに、俺ならそれをしようと思えば出来るだろうが…
自らの覚えていないことはまるで仮想の産物だと言いたげのこの顔。
俺は心の底から悔いた。
何故って?
そりゃこんな馬鹿に馬鹿にされれば腹も立つがそれだけではない。
昨日は、ヤリ過ぎた。
俺からすれば大した事は無い。
だが、伊勢谷が意識を飛ばしてしまった。
飛ばすような仕掛けだった。
「ふっ、そうか。…そうか。お前がそう言うのならば今度は意識を飛ばさずにヤるのもいいかもしれないな。」
こいつだって、覚えてさえいれば、流石に心に刺さるだろう?
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