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18話
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少し冷え込む朝の空気に俺は目を覚ました
昨日はいつの間にか眠ってしまったのか、寝る前の記憶の中の態勢とは違う事に違和感を感じる
違和感の正体が頭の下にある多喜の腕だと分かると、人生初腕枕にドキドキした
まさか腕枕される側を先に経験するとは
多喜に背を向けているのに、しっかりとお腹に回る腕が無性に恥ずかしい
背後から多喜の規則正しい寝息が聞こえて、それが時々首筋に当たって妙に意識してしまう
今は何時だろうか
近くにスマホが見当たらず時間を確認出来ない
仕方なく寝返りをうって反対側にある目覚まし時計を確認しようとするのだが、多喜の腕のせいでなかなか動けない
「しょーちゃん?…どうしたのー?」
一人でもぞもぞしていたせいか多喜を起こしてしまったらしい
その声は平素の多喜の喋り方よりゆっくりで…妙に、色気みたいなものを感じる
少し緩まった多喜の拘束から身を捩ると漸く寝返りを打つ
「今、何時かなって」
「んー?まだね、5時だよ」
通りでまだ外は薄暗い訳だ
今にも瞼がくっ付きそうな多喜がふにゃっと笑って俺を引き寄せる
「まだ早いよー?もう少し寝よ?」
俺の髪に顔を埋めた多喜は直ぐに寝息を立て始めた
恐らく寝惚けていたのだろう
多喜の高めの体温が心地良くて、少し冷えた体が温まっていくと眠気は直ぐそこにまでやってくる
今日は早苗さんに起こされる前に起きないと…
多喜とこんなにくっ付いて寝てるの見られたら恥ずかし過ぎる
まぁ…早苗さんなら「仲良しねー」なんて笑いそうだけどな
目の前の体温に無意識に擦り寄ると背中に回された多喜の腕が、キュッと強めに抱き締めてくれた
いつもと違う朝
今までとは違う距離
なんか、良いなーなんて思いながら俺は意識を手放した
「ほらほらー!2人共ー!起きなさーい」
早苗が中々起きて来ない2人を部屋に起こしに行くと翔悟が寝ているはずの布団にはその姿は無い
「あら?」
もう起きたのだろうかと多喜のベッドに目をやると其処には2人が気持ち良さそうにくっ付いて眠っている
「この子達ったら…」
まだうんと幼かった頃の2人を思い出して早苗は楽しそうに笑う
「仲良しね」
そう言って静かに部屋を出て行くと鼻歌を歌いながら階段を下りていくのであった
2度目に意識が覚醒すると慌てて起き上がった
近くにあった多喜のスマホで時間を確認する
「10時…寝過ぎた…」
隣で眠る多喜はまだ夢の中だ
「多喜ー!朝だぞ!」
そう言って軽く揺するが起きる気配は無い
この時間まで早苗さんが起こしに来ないのは珍しい
休みの日でも規則正しい生活は大事なのよ?って8時半位には起きるように言われるし、起きなかったら確実に叩き起こしに来るのだ
いや、多喜と同じベッドに寝てたから見られなくて済んで良かったんだけど
小さい頃から知ってる人にそう言うの見られるのって絶対恥ずかしいよな
その上、恋人の母親な訳だし…
起きない多喜を放置して俺は顔を洗いに洗面所へと向かった
早苗さんに挨拶をしようとリビングに顔を出すと出掛けているのか姿が見当たらない
テーブルを見ると二人分の朝食にラップがかけられていてその隣には早苗さんからのメモ
どうやら早苗さんはお休みの信明さんと一緒にお出かけらしい
相変わらず仲が良いなぁなんて思っていると盛大にお腹の虫が騒ぎ出した
…多喜を起こして一緒に食べよう
勝手知ったる何とやら
慣れた手つきでコーヒーメーカーのスイッチを入れると寝起きの悪い多喜を起こしに行くのだった
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