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勘違いと鈍感
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「今日の20時、駅前で待ってますよ」
「は?」
「先輩が来るまで俺駅前で待ってますからね」
「俺行かないからね!行かないから!」
話の流れをぶった切った奏海が
それだけを言い残してサッサと歩いてく
奏海の癖に生意気!
俺に駅前迄来いとか言ってるわけ?
来て欲しいなら俺の事探して
頭下げるぐらいして欲しいんだけど!
本当ムカつく
今度は酷くイライラする
何なんだろどうしたんだ俺……
なんで奏海が居なくなったぐらいで
寂しいなんて思ってんの……
どうして待ち合わせの時間が
こんなにも長く感じるんだろ
「20時……か」
腕時計を見てハァとため息が零れる
まだ午前中だし
どうやって暇潰そうかな
そこらへんに居る誰か引っ掛けちゃお
ドキドキする高揚感に包まれながら歩きだす
秋の風はどこか寒さを含んでいるのに
俺の体は熱っぽいまま冷えることがなかった
「あ、やっと来た……先輩こっち」
「……」
20時半、駅前
サラサラなマッシュの髪を風になびかせた奏海が手を挙げて俺を見る
う……気まず……
行かないから!なんて宣言したくせに
結局来ちゃったし挙句にまだかなーなんて待ってたなんて知られたくない
「先輩!時間押してるんです、ほら行きますよ!」
「えっ?!」
おろおろと駅前に面したバスロータリーの時計台の下
行くか行かまいか、どうしようかと悩んでいた時こっちに渡ってきた奏海に腕をつかまれた
「ちょ、触らないで!」
「え?ほら前見て!」
「え……っ!ちょっと!」
掴まれた手首から奏海の体温を感じて
体がブワッと熱くなる
やばいやばいやばい
奏海に手首掴まれてる……!
そう思ったら恥ずかしいなんて気持ちが溢れてきてブンブンと振り払おうと腕を振っていた時奏海に引き寄せられた
ばっ、とまた目前に奏海の顔があって
ギュッと心臓が締め付けられたと思った時いきなり奏海が走り出す
手首を掴まれてるせいで俺まで走らなきゃならなくて、夜の駅前を奏海に腕を引かれながら子供みたいに走り抜けた
「先輩……っ!生きてます?」
「ハァ……っん……はぁー……本当、最悪」
「でもたまには走るのも悪くないじゃないですか」
「ッ!う、うざい!離して!」
「あ、すみません……」
目的地なのであろう場所に着く
ゼーゼーと肩で息をして汗を拭っていたら
振り向いた奏海が笑顔でそんなことを言う
なかなか見たことのない奏海の笑顔を見て
もう走ってないのにまた心臓がバクバクと音を立て始めて
触れてる腕から心臓の音が聞こえそうで怖くて思わず口から暴言を吐いてしまう
「先輩来ないかと思った」
「……」
「まあ遅刻しましたけどね」
「はぁ?!してない!」
「俺が言ったの20時に、駅前ですよ?」
「だからしてないの!俺は19時から駅前にいたんだから!」
「…………え?」
「…………っあ!」
しまった……!俺のバカ……
思わず口が滑って言ってしまった言葉に羞恥心が湧き上がって顔を逸らす
やる気のなさそうな瞳が俺をじっと見つめてきていてもう本当何もかも上手く行かない事に焦燥感でいっぱいだ
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