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オカン系男子
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突然だが、俺が作る料理を喜んでくれるクラスメート(男子)がいる。
名前は仁藤 成(にとう なる)。
バスケ部のヘラヘラ男。
身長が185cmと高く、女子からはキャーキャーと騒がれ、男子からはその明るい性格と持ち前の人懐こさからムードメーカーとして慕われている…のだと思う。
俺から見ればアホなことばかりをしているように見えるが、まあそれも仁藤が人を惹き付ける魅力の一つなんだろう。
そんなこいつに、俺は何故か弁当を作ってやっている。
それも、毎日。
こいつの周りには可愛くて恐らく家庭的であろう女子が沢山いるのに、何故俺なのか。
というのも以前に一度、弁当を忘れた仁藤に恵んでやったことがあるのだが、どうやらその時に胃袋を掴んでしまったようで。
「おーっす栃倉!」
こんな風に、昼休みになると当然のように俺の席にやって来て向かい側にドカッと腰をおろすのだ。
遅ればせながら俺は、栃倉 凛(とちくら りん)。
幼馴染みからはクラリンとか呼ばれているが、別に悟空の親友ではない。
「今日の弁当なーに?」
何も言わず昼飯の準備を始める俺の鞄を覗き込み、待ちきれないとばかりに口を挟んでくる。
そうか、こいつよく食べるから発育が良いのか。
「生姜焼き弁当にしてみた」
「うおお…やっべ旨そう…!!」
メニューを告げると感動の声が上がる。
そんな仁藤を見て、俺はこっそり口端を上げる。
いつもこんな風に喜んでくれるから、本当作りがいのある奴だと思う。
「手は洗ってきたか?」
「おう!バッチリ」
それじゃ頂きます、と手を合わせて俺に目線を向け
てくる。
俺が僅か顎を上げて促すと、嬉しそうに弁当箱の蓋をあけてしばし中身を見つめてから、でかい口を開けてもぐもぐと食べ始める。
図体のでかいこいつが夢中になって弁当を頬張る姿はなかなか微笑ましい。
俺はそんな仁藤の姿を見ているだけで、なんだか自分まで腹一杯になったような気がしてしまう。
「お前将来絶対良いオカンになるな」
「なんだそれ、嫌味か」
ご飯粒残すなよ、なんて声を掛けながら。
今日も昼休みは過ぎていく。
。
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