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「おい…。お前誰だよ。」
気がつくと、自分でも驚くくらい怒気の孕んだ低い声を出していた。
目の前には虚ろな目をして全ての力を脱力させている俺の一目惚れした、優の姿だった。
もともと自分というものがなくて、いつも黙っていたし動かなかったが、これはそうじゃない。
猿轡も拘束具もなにも装着されてはいないものの、精神的に縛り付けているとういうのは、一目瞭然だった。
まともな人間の、いや人体の姿ではない。
「てめぇ、俺の優になにしてくれてんだよ!」
腕を大きく振り上げた俺が見えていないかのように、見知らぬ執事は立ち止まったままだった。
「っ!」
鈍い音がして執事を見ても、ただ何事もなかったかのように立っていた。
なんの反応も示さないからいい加減無視して部屋を出ようとした時、執事がゆっくりと口を開いた。
「ご挨拶をさせていただこうかと思いましたら、まさかこんなふうにおむかえいただけるとは。
…ご主人様に言われ、もとい、圭介様にご命令されて専属の執事をさせていただいております、新人の蔭木(かげき)と申します。」
あまりにも淡々と何を言われているのか、頭に入ってこなかった。それでも数秒かけてなんとか理解し、不明点をこの蔭木という男に突きつけてみた。
「今、圭介のことをご主人様といったか?お前の主人は俺だが?俺が当主だ。」
「いえ、私の主人は京介様でいらっしゃいますが、圭介様の命により、優という奴隷は圭介様が主人だと伺っております。」
淡々と口から出る言葉に、またも頭の中の思考回路がフリーズした。
今なんて言った?
圭介が優の主人?
そもそも圭介は優のことを知っていたのか?
ごく一部の人間しかしらない優のことを?
どうやって?
疑問はいくつもあるが、すぐに別の執事を呼び寄せて、圭介を呼んでくるように言った。
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