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40 過去編
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「な、にも……。」
「ああ。何も。」
何も。
その言葉に込められた意味とは一体何だったのか。
僕なんて、いてもいなくても変わらない存在だということだろうか。
むしろ、お荷物になるという意味だったのだろうか。
慎一お兄さんは、いつも僕のことを考えていてくれた。
学校に行く時も気遣ってくれて、引越しまでしてくれた。
勉強がしやすいようにと部屋を別にしてくれて。
それでも、一人が寂しいという僕の要望にも答えて共同スペースとして、一緒に娯楽を楽しむ部屋を、リビング以外にも用意してくれた。
一緒に出かけて家具を買ったりして。
誕生日の時は、サプラズでお祝いしてくれて、プレゼントもくれた。
あの、口下手な慎一お兄さんが手紙ほどじゃないけどメッセージカードをくれて。
…………。
僕は?
僕は、いろんなことをしてもらって、お金を出してもらって。
迷惑かけて、気を使わせて。
幸せにしてもらって。
僕は…、
僕ができることは……。
その時、携帯に着信がきた。
慎一お兄さんからだった。
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