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48 過去編
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僕が売られるその日がやってきたときに、お義父さんは、僕に言った。
「奴隷育成所にはなにも持ち込めないだろうが、なんでもお前のいうことを聞いてやる。」と。
でも、僕は望みなんてなかった。
そもそも望みなんてなかった。
何度も僕の人生は終わったと思った。
お父さんが家出て行ったとき。
お母さんに男の人がいたのを知ったとき。
その男の人に体を売られたとき。
最愛の人を騙し、わかれたとき。
この世界に堕ちたとき。
それでも、望みたいことはあった。
でも望んではいけなかった。
だって、望まれない子だったから。
自分が何もできないとわかっているのに、生してもらえてるだけでもあいがたいことなのだから、それ以上を望むなんておこがましいことができるわけがない。
そう答えたら、お義父さんは僕を力強く抱きしめた後、近寄ってきた黒いスーツを着た男の人に僕を押し出した。
「お前のツラを拝まなくていいと思うと、嬉しいよ。」
そういったお義父さんの頬には、一筋の涙が流れていた。
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