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49 過去編
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そこは地獄だった。
いつも暗くて、冷たくて、物として扱われて。
お義父さんから聞いていた通り、いろんなことを教えられた。
でもそれはその手の極意でもなんでもなくて、ただ人間の尊厳を失われるようにするためだけのプログラムでしかなかった。
いくつかのコースがあるうち、なんでかこの、精神をズタズタにされるのを選んだらしい。
…そこまでして僕を痛めつけたいのか。
でも、そんな僕にも奴隷らしからぬ希望があった。
大人数で行われるプログラムの時に一緒になる69番さん。
この人はそこそこの古株らしかった。
いくつものご主人様のところを渡り歩いては、返品されてきたらしい。
いつも僕に優しく接してくれた。
私語をしたら罰が与えられてしまうのに、いつも僕のことを励ましてくれた。
ウリをするためのプログラム中だけは、まだ『生きること』にしがみついて入られた。
なのに、また売られてしまったらしい。
なんでも、何回かウリをした相手が独占欲が強かったらしくて、金に物を言わせて無理やり買った。と、僕たちが逃げ出さないか見張っている人たちが話していた。
希望が失われた。
そんな気がしていて絶望していた僕に、彼は優しく、甘く耳打ちをして売られていった。
『もっと絶望するといいよ。なにも考えられなくなるくらいに。
そうしたら、楽になれるよ。』
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