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54 過去編
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「おい。見定めだ。」
俺の顔色を伺って、おずおずと牢から出てくるのは相変わらずだったけど、「見定め」という言葉を聞いた時に、死んだ魚のような目をしなくなった。
ホテルや、客どもの屋敷に連れて行く際に車に乗せれば、目は目隠しされているからわからないものの、少しだけ、口角が上がっているような気もした。
客の相手が終わって、シャワーを浴びたら、それだけで嬉しそうにしていた。
だから俺も、少しは上に言って、こんだけ売り上げを上げてるんだからと、数日間でも休みを取らせようと思っていた矢先のことだった。
同じ班だった69番がいなくなったのと同時に、214番は、また変わった。
哭いて泣いて鳴いてナイテないて。
それからしばらくして、またナカナクナッタ。
あの時と同じ。
『なかなくなった』
『口角が上がっている』
『笑っている』
『売り上げも、これまで以上にのびている』
なのに、これまでとは全然違った。
『なかないけど、涙は頬をつたっている。』
『口角は、ひきつっている。』
『不気味な笑みを浮かべる。』
『機械のように、ヤル。』
まるで、別人だった。
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