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56 京介side
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「オークションに出されてからは、ご存知の通りです。」
一通り語り終えた看守は、「ふう」と息をついた。
俺も前々から優について気になっていた件。
それは、ころころとよく、人が変わったようになるという現象のことだった。
俺がなんども感じた違和感。
優のなかの複数あるかのような人格。
俺が買い取ってすぐは、俺の顔もまともに見なくって、なにかに怖がっているようにも見えた。
でも、数日すぎる頃には、返事もしてくれるようになった。
もう平気かと思われた頃に、圭介にめちゃくちゃにされて、また壊れたかのようになった。
そして、今、優は微笑んで、自ら積極的に俺に話しかけるまでになっている。
だんだん俺に心を開いてくれている証拠なのだから、いい傾向にあると思っていたが、やはりどこかしら違和感があった。
人に慣れるのが異常に早い。
あれだけ壊れてしまったのに、数時間、数日後には、何事もなかったかのように…、いや、それ以上に明るくなって、自発的な状態にある。
人と関わるのを極端に避けていたのに、自分から学校に行きたいだなんて言い出す始末。
…何かがおかしい。
そんな漠然とした違和感が、今の話を聞いて、ある確信的なものへとなっていた。
『69番という奴隷との接触』
考えられる違和感の原因は、これしかないだろう。
優の精神状態が、今、とても不安定な状態にあるのは火を見るより明らかだった。
これから、専属の医者を通して、精神に特化した医師たちににも診てもらおう。
一刻も早く、なんとかしないと、優にある違和感が、何かを引き起こすような、そんな気がしていた。
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