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「ただいま。」
自分の部屋に寄ってから隣の優の部屋に鍵を開けてから入ると、優はもうすでに起きていた。
学校に行きたいというので、少しでも学力をあげた方がいいと思って、小学校高学年から高校卒業までのテキストを一応おいていったのが良かったらしい。
部屋に置いてある、これまた白いデスクに向かって、白い足を揃えて勉強をしていた。
やっているテキストは小学校のものだが、赤ペンで直したところが目立つし、何時に始めたのかは監視カメラを見てみないとわからないが、あまり進んでいなようだった。
「おい。もしわからないんなら、家庭教師でも頼むか?」
俺が入ってきたことに今気づいたようで、ハッと顔を上げでスタスタと俺の目の前まで来て「おかえりなさい」と頭を下げた。
その他人行儀な仕草によけい独占欲が働いて、やっぱり誰にも見せないでおこうと考え直した。
「いや、わからなければ俺に聞けばいい。
一通りやっているから、教えられると思う。」
「はい。」
特にこれといった感情を抱いた様子もなく、ただ口角をあげるように微笑んだ。
「そうだ。来週、優、お前も学校に行くことになったから。
それまでに制服を新調させておくが、採寸に執事長が来るかもしれない。返事はちゃんとしろ。いいな。」
なんだか一目惚れした時の優とは違う、得体のしれない人と話しているようで、まともに顔を見ることができず、一方的に告げて部屋を出た。
ーー69番に会えさえすれば、きっと幸せになってくれる。
そう願って。
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