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社長になってからというもの、就任式やら書類やら、なんやかんやあって溜まっていた課題や学校の準備をして、ようよう一段落がついたところで部屋をでた。
「入るぞ。」
優の部屋には内側からは開けられないとわかってはいても、優の過去を知れば知るほど、優の存在が不確かなものに思えて、暇をみつけては、優の部屋に足を運ぶようにしていた。
…そうしないと、どこかにいってしまいそうで。
「お茶、入れます。」
これまでのように笑ってはくれないものの、返事はするし、こうしてある程度の会話ができるようになった。
優の部屋に頻繁に来ていたこともあって、俺が来たらお茶を入れるというのが、一つの決まりごとのようになっていた。
優が俺の座っている目の前に「どうぞ」と一声かけてお茶を置いて、優も椅子に座った。
「採寸は済んだか?」
「はい。もう試着もしてみました。」
「制服を作らせたのは、学校内にいても目立たないようにするためであって、まだ学校に行くことを許したわけじゃないからな。」
「はい。」
俺が何を言っても返事はするのに、ただ淡々と無感情に告げられるのが、少し不愉快できつく当たってしまった。
でも、こんなもどかしい気持ちも終わり。
学校まで、あともう数日。
そうすれば、なにかが大きく変わる気がした。
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