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あの頃の「優」のイメージは、最初は全く話さないやつだった。
奴隷なんてそんなものが多いし、特に目立っていたわけではなかったけど、こいつは許可が下りて話せと命令されれば、他の無口でしゃべることを忘れたような奴隷とは違って、主人の期待通りに答えた。
ただ一つ、69番と話すときを例外とするならば。
「優」はどんな時でも、ご主人様の期待通りに行動していた。
ただ、69番と話すときだけは嬉しそうで、積極的で、彼も一人の人間だったんだということに改めて気付かされた。
あいつのいい相手にでもなればいい。
そんな価値しかなかったはずなのに、いつの間にか「優」の虜になっていて、先輩から「優」を奪い返すことに躍起になっている自分がいた。
恋とは違うのかもしれない。それでも、「優」のことを愛おしく感じていることは事実だった。
「優さんのために特別に取り寄せた茶葉なんだ。気に入ってくれると嬉しいな。」
優さんは俺の手からティーカップを受け取って、俺をじっと見つめた。
さすが俺の店の奴隷。教育がちゃんと行き届いてある。
「どうぞ、召し上がってください。」
事実上の「よし」を口にしたら、即座に紅茶を口へと流し込んだ。
どんな所作からも見る人が見れば「奴隷」であるとすぐにわかるような見受けられる。
そして何より精神的苦痛の多い奴隷がなりやすいもの。
「君は…、二重人格だよね?」
「優」は、静かに首を縦に振った。
やっぱり。
これで「優」のとこはわかった。
さあ、俺のものになる奴隷のために、早く名前を考えてあげなくちゃ。
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