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霧ヶ峰様に案内されるがまま、自室だと言わられる部屋に連れて行かれた。
部屋の前まで来て、ドアを開けられて、それでも僕はまだ部屋には入らない。
「さあどうぞ、入ってください。」
僕の習性と言うべきか、奴隷の性というべきか、僕は犬のように「待て」「お手」「よし」などの言葉がないと、全く動けないようになっていた。
きっと、最初に入った時すぐに行われたプログラムの精神をズタズタにするやつの中に、なにかそういう犬みたいになるのが組み込まれていたんだろう。
僕にとっての「よし」を聞いてから、僕はゆっくりと部屋に入って霧ヶ峰様に道を開けた。
僕らは執事とは違う。だからドアを開けたりするような仕事はしない。
調教した人たち曰く、ドアまでもが汚(けが)れてしまうらしい。
部屋に入ってからも一歩も動かず、次の主人の指示を待った。
今現在、まだご主人様は京介様だけど、見定めをしているのだし、人である彼のほうがよっぽど上なのだから主人として認識していいはずだ。
霧ヶ峰様がゆっくりと歩いて、ソファの近くに立たれる。
「こっちへ来て、ソファにでも座って待っててください。今、お茶を淹れますから。」
あ…この人は、奴隷の扱いにすごく慣れている人だ。
すぐにわかった。
普通の人になら、「座ってて」と言えばいいとこだろう。
でも、奴隷たちはどんな言葉では動けない。
床なのか椅子なのかソファなのかどこに座ればいいのかが分からないからだ。
それに、霧ヶ峰様は「待て」という指示までさりげなく入れている。
ドアの前に着いた時から思ってはいたが、さすがは69番さんのご主人様。
僕たちは、「奴隷」の教育を受けさせられているから、見る人が見れば僕たちが奴隷であることなんて、どんなに取り繕ってもわかってしまうだろう。
しかしそれと同じように、僕たち奴隷の方も、奴隷を扱い慣れている主人のことはすぐにわかってしまう。
ただ、奴隷を扱い慣れている、すなわちいい主人とは限らない。
さて、この方は一体どんな主人なんだろうか。
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