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高級で品のある美しい靴が、一歩、また一歩と僕を目指して向かってくる。
「大丈夫ですよ。殺処分なんて、そんなもったいないことしませんから。
なんでそうなったのかは、またちゃんと優さんの口から聞かせてください。
だから、俺のところにおいで?」
男性でされ惚れてしまうような声で、指付きで僕の顎を引きながら霧ヶ峰様は僕の耳に囁いた。
「俺は美しい綺麗な優さんも好きですけど、69番に会う前の荒んだ目をした優さんも好きだし、会った後の歪んだ優さんも好き。
どんな優さんでも俺は受け止めてみせるよ。
……俺のところに、来てくれるよね?
それとも、やっぱり京介先輩の方がいいの?」
「……えっ、っと…。」
当然、僕は殺処分になるとばかり思っていたから、それ以外の選択を与えられて一方的に言われてもなにがなんだかわからなかった。
そもそも、奴隷になってから選択肢なんて与えられたことすら初めてだ。
奴隷は、ただイエスマンをしていればよくて、たまに聞かれる質問だって、選択肢は「はい」と「Yes」しかないようなもので……。
まともな選択肢に、僕は戸惑った。
「…っあっの、その、僕はご主人様の意向に従うだけなので、決めていただければ、」
「それってさぁ、先輩?俺?どっちのご主人様のこと?」
僕の精一杯の返答を食い気味に遮られて、誰もが見入ってしまうような京介様とはまた違う美しい顔が視界いっぱいにひろがって、僕はもう、なんがなんだかわからなくなっていた。
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